Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓/その他/症例

(S668)

肝血流動態を捉えることができた成人スティル病の一例

Adult Still's disease and Liver arterialization

吉峰 尚幸, 荻野 悠, 和久井 紀貴, 松清 靖, 篠原 美絵, 丸山 憲一, 山田 善登, 住野 泰清, 永井 英成, 五十嵐 良典

Naoyuki YOSHIMINE, Yuu OGINO, Noritaka WAKUI, Yasushi MATSUKIYO, Mie SHINOHARA, Kenichi MARUYAMA, Zento YAMADA, Yasukiyo SUMINO, Hidenari NAGAI, Yoshinori IGARASHI

1東邦大学医療センター大森病院消化器内科, 2東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査室, 3東邦大学医療センター大森病院膠原病科, 4JCHO東京蒲田医療センター

1Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Toho University Medical Center, Omori Hospital, 2Division of clinical laboratory, Toho University Medical Center, Omori Hospital, 3Toho University Medical Center, Omori Hospital, 4JCHO Tokyo Kamata Medical Clinic

キーワード :

橋本病とNSAIDs由来の薬物性肝障害の既往がある30歳男性.
2017年9月下旬から発熱,下肢の痛み,体幹から四肢にかけての皮疹を認めた.10月になり咽頭痛と炎症反応上昇も認めたため精査目的で入院した.トランスアミナーゼの上昇なし.画像検査や血液検査などから感染症や悪性疾患などは否定的であった.発熱,関節症状,サーモンピンク疹,好中球優位の白血球増多,頸部リンパ節腫脹,そして抗核抗体やリウマトイド因子が陰性であることから成人スティル病と診断した.入院時に腹部超音波検査を施行.Bモードでは肝の形状正常,辺縁は鋭角で表面平滑,肝内に病変は認めず,胆嚢の虚脱なし.脾腫あり(S.I.=39).肝硬度測定:SIEMENS社製S2000を用いて右肋間走査で肝表から1-2cmのところにROIを設定して計6回肝硬度を計測し,その中央値を算出した(Vs値).Arrival-time Parametric Image (At-PI):門脈右枝と肝実質が描出できる部位でSonazoid®をボーラス静注後30秒間動画で保存し得られた動画から,門脈の到達時間より早い血流を赤,門脈到着以降の血流を青としAt-PIを作成した.検討結果は,Vs値 1.19m/s,At-PIは動脈化をきたしていた.成人スティル病の診断後,プレドニゾロンを60mgから投与開始しはじめ,解熱と皮疹の消退を認めた.症状改善後の腹部超音波検査ではVs値 1.08m/s,At-PIは門脈から灌流するパターンに変化していた(動脈化は改善していた).その後はメトトレキサート6mg内服を開始するとともにプレドニゾロンを漸減して退院となった.
我々はこれまでの報告で,動脈化が起こるケースとして①急性肝炎の急性期②慢性肝疾患の進行期③閉塞性黄疸の黄疸期④門脈が塞栓などにより閉塞している症例において報告している.成人スティル病は,発熱,関節症状,皮疹を主徴とした比較的稀な全身の炎症性疾患であり,インターロイキンなどのサイトカインの過剰産生による高サイトカイン血症を引き起こすことにより発症すると言われている.今回の症例はステロイドの投与前後で肝硬度は変化しなかったが,治療後はトランスアミナーゼの変化がないにも関わらず血流バランスは動脈血優位から門脈血優位へと変化していた.このような全身の炎症性疾患においても,肝血流に大きな影響を与える可能性が示唆され,貴重な一例と考え報告する.