Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓/胆道

(S656)

肝外胆管所見に着目した腹部超音波検査症例の検討

Evaluation of the abdominal ultrasonography cases paying attention to extrahepatic bile duct findings.

稲垣 正樹, 瀧沢 義教, 内山 健二, 谷塚 千賀子, 一戸 利恵, 富田 順子, 大熊 ちひろ, 春木 宏介, 玉野 正也

Masaki INAGAKI, Yoshinori TAKIZAWA, Kenji UCHIYAMA, Chikako YATSUKA, Rie ICHINOHE, Jyunko TOMITA, Chihiro OOKUMA, Kousuke HARUKI, Masaya TAMANO

1獨協医科大学埼玉医療センター臨床検査部生理機能, 2獨協医科大学埼玉医療センター消化器内科

1Clinical laboratory, Dokkyo Medical University Saitama Medical Center, 2Gastroenterology, Dokkyo Medical University Saitama Medical Center

キーワード :

【目的】
腹部超音波検査にて肝外胆管に所見を有した患者の超音波所見と最終診断について検討することを目的とした.
【方法】
対象は2016年4月から2017年3月までに当院で腹部超音波検査を施行した4326例である.肝外胆管に所見を認めた症例を抽出して超音波所見と最終診断について検討した.超音波所見の判定は日本超音波医学会の腹部超音波検診マニュアルに準じ,肝外胆管に以下のいずれかの所見を有する症例を検討対象とした.①壁肥厚(3mm以上,または内側低エコーあり),②拡張(8mm以上,胆嚢摘出後は11mm以上),③結石像(石灰化や気腫像を含む).超音波診断装置は東芝社:Aplio500,XarioXG,GEヘルスケア社:LOGIQ E9を用い,超音波検査師8名と,超音波経験2年以上の消化器内科医4名と超音波指導医1名が検査を行った.
【結果】
肝外胆管に所見を有する症例は123/4376例(2.8%)であった.123例の平均年齢は71.6±10.3(25-91)歳,男性56例,女性67例であった.肝外胆管径の平均は10.9±4.0(6.0-24.9)mmであった.所見の内訳(重複あり)は①壁肥厚が11例,②拡張が99例,③結石または内腔エコーが15例であった.最終診断は胆管癌12例(9.8%),胆管結石29例(23.6%),硬化性胆管炎5例(4.1%),その他の胆管疾患14例(8.9%),膵癌14例11.4%),その他の膵疾患9例7.3%),胆膵以外の癌7例(5.7%),その他36例(29.3%)であった.超音波所見と最終診断を検討すると,①壁肥厚を有する群では3/11例が硬化性胆管炎であり,肥厚がない群の2/112例に比して有意に多かった(p<0.00001).②拡張を有する群では24/99例が胆管または膵癌であり,拡張のない群の2/24例に比して多い傾向にあった(p=0.0866).③結石エコーまたは内部エコーを認めた群の10/15例が胆管結石であり,内部エコーを認めない群の19/108例に比して有意に多かった(p<0.0001).
【考察】
本研究の対象には検診受診者は含まれず,消化器内科を受診した患者の
みであるが,肝外胆管に所見を有する症例は約3%と少なかった.一方で,これらの有所見者の67.5%に何らかの胆膵疾患を認めた.また,有所見者の20%が胆管癌または膵癌であり,肝門部胆管の所見を正確に撮像することが重要であることが示唆された.
【結論】
当院では肝外胆管に所見を有する患者は2.8%であり,これらのうち21.2%が胆管癌または膵癌,23.6%が胆管結石,4.1%が硬化性胆管炎であった.