Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓/胆道

(S655)

EUS下胆嚢ドレナージの治療成績

Clinical outcomes of EUS-guided gallbladder drainage

菅野 良秀, 小堺 史郷, 野田 裕, 越田 真介, 小川 貴央, 楠瀬 寛顕, 酒井 利隆, 枡 かおり, 伊藤 啓

Yoshihide KANNO, Fumisato KOZAKAI, Yutaka NODA, Shinsuke KOSHITA, Takahisa OGAWA, Hiroaki KUSUNOSE, Toshitaka SAKAI, Kaori MASU, Kei ITO

仙台市医療センター仙台オープン病院消化管・肝胆膵内科

Department of Gastroenterology, Sendai City Medical Center

キーワード :

【背景と目的】
近年急性胆嚢炎に対するEUS下胆嚢ドレナージ(EUS-GBD)の報告が散見されるが,その成績は十分に明らかとなっていない.当科におけるEUS-GBDの治療成績を評価することを目的に検討を行った.
【方法】
検討1:2012年から2016年に外科的胆摘術適応外と判断され, EUS-GBDを施行した急性胆嚢炎症例9例(男性6例;平均年齢81±11歳;結石性胆嚢炎3例,胆管ステント留置後胆嚢炎6例)を対象とし,手技的成功率,臨床的奏効率,有害事象について評価した.検討2:この9例中,悪性胆道狭窄に対する胆管金属ステント留置後に発症した急性胆嚢炎に対する治療として行った6例の治療成績を,同時期に同病態に対して施行したtube留置を行う経皮的胆嚢ドレナージ(PTGBD)9例およびtube留置を行わない経皮的胆嚢穿刺吸引(PTGBA)13例(症例重複があるが,同一症例に同じ治療を行った場合は初回のみ検討)と比較し,臨床的奏効率,有害事象,再発率について検討した.
【結果】
検討1:EUS-GBDの手技的成功率,臨床的奏効率はいずれも100%であった.有害事象は,2例(22%)に胆汁性腹膜炎を認めたが保存的に軽快した.検討2:EUS-GBD,PTGBD,PTGBAの手技的成功率はいずれも100%で,臨床的奏効率はそれぞれ100%,89%,62%であった.有害事象は,EUS-GBDの2例で上述の胆汁性腹膜炎を認め,PTGBDの1例(11%)で経胸腔的穿刺となったが追加治療は必要なかった.PTGBAによる有害事象は見られなかった.胆嚢炎再発は,EUS-GBD群ではステントの位置異常によって2/6例(33%)に,PTGBD群ではtube抜去後に1/8例(13%) に,PTGBA群では1/8例(13%)に見られた.EUS-GBD群の再発例はいずれも内視鏡的に対処可能であった.PTGBD群,PTGBA群の再発例は,再穿刺により治療でき再々発はなかった.
【結語】
EUS-GBDは比較的良好な成績を示し,外瘻によるQOL低下が懸念される経皮治療の一部を置き換えうると考えられる.