Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
心筋症

(S644)

摂食ならびに運動負荷が閉塞性肥大型心筋症の左室流出路狭窄に与える影響

Effects of Meal and Exercise on LV outflow Stenosis in Hypertroohic Obstructive Cardiomyopathy

安 隆則, 松島 一雄, 和田 浩, 上間 貴子

Takanori YASU, Kazuo MATSUSHIMA, Hiroshi WADA, Atsuko UEMA

1獨協医科大学日光医療センター心臓・血管・腎臓内科, 2南魚沼市立ゆきぐに大和病院内科, 3自治医科大学さいたま医療センター循環器内科

1Department of Cardiovascular Medicine & Nephrology, Dokkyo Medical Unoversity Nikko Medical Center, 2Internal Medicine, Minani Uonuma Yukiguni Yamato Hospital, 3Department of Cardiovascular Medicine, Jichi Medical University Saitama Medical Center

キーワード :

【目的】
閉塞性肥大型心筋症(HOCM)では,主にVenturi効果で僧帽弁収縮期前方運動が起こり,左室流出路狭窄が生じる.この左室流出路狭窄は前負荷,後負荷,心収縮力の影響を受けダイナミックに変化する.本研究の目的は,摂食や運動負荷が,HOCMの左室流出路狭窄と固定狭窄である大動脈弁狭窄症(AS)に対し与える影響を比較検討した.
【方法】
対象は,左室流出路での連続波ドプラによる圧較差が20mmHg以上のHPCM患者12例(平均年齢60歳 53~69歳)とAS 11例(平均年齢63歳 53~78歳)で,空腹時および摂食(600 Cal)30分後に,臥位エルゴメーター負荷心エコードプラ検査を行い,安静時,両側下肢挙上(受動的に45°),25W 5分間の臥位左足エルゴ負荷中,回復早期(2~5分),回復後期(7~10分)に経時的に評価した.さらに,空腹時と摂食30分後に安瀬以外で採血を施行し,血糖,インスリン値,ノルアドレナリンン値を測定した.
【結果】
空腹時に,HOCMでは下肢挙上で圧較差は減少し,臥位運動中は増加せず,回復早期に増加し,回復後期に基礎値に回復した.一方ASでは,下肢挙上で圧較差は増加し,臥位運動中にも増加し,回復早期に減少して基礎値に回復した.摂食30分後にHOCMでは有意に心拍数と圧較差が増加したが,ASでは僅かな上昇に留まった.両群間で,食前後の血糖,インスリン値,アドレナリン値に有意差を認めなかった.
【考察と結語】
HOCMではASと異なり,臥位運動負荷中に圧較差は増加せず,運動停止後回復早期に急激に増加したが,これは運動停止後急速な前鱶の尾低下と持続する心収縮力によりVenturi効果が大きくなり左室流出路圧較差は増大した.また摂食30分後にHOCMでは圧較差が有意に増加したが,この機序は後負荷の低下に起因すると推測される.本結果から,HOCM患者に対する生活指導として,運動終了時のクールダウンと摂食直後の過度な運動を控えることの重要性が示唆された.