Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
右心

(S632)

持続性心房細動の洞調律化による右心系形態の変化についての検討

Dose Persistent Atrial Fibrillation Make the Right Heart Morphology Change?

板倉 希帆, 泉 可奈子, 須澤 仁, 原田 侑, 木下 未来, 宇都宮 裕人, 日高 貴之, 木原 康樹

Kiho ITAKURA, Kanako IZUMI, Hitoshi SUSAWA, Yu HARADA, Mirai KINOSHITA, Hiroto UTSUNOMIYA, Takayuki HIDAKA, Yasuki KIHARA

広島大学病院循環器内科

Cardiovascular Department, Hiroshima University Hospital

キーワード :

【背景】
持続性心房細動(AF)の洞調律化が,左心系の形態に与える影響は広く知られている.一方で昨今,持続性AFに伴う三尖弁逆流という病態も認識され始めているなか,持続性心房細動の洞調律化が,右心系の形態に与える影響についてはほとんど明らかにされていない.
【方法】
1年以上持続するAFに対して,初回の経皮的カテーテル心筋焼灼術を施行された患者; n=101において,治療前,治療3ヶ月後,1年後の心臓超音波検査にて心形態を確認した.一般的な測定項目に加え,四腔像での右房容積,右房長径・短径,三尖弁輪径及び僧帽弁輪径の測定を行った.治療3ヶ月後と1年後に調律を確認し,洞調律が維持されていたSinus Rhythm(SR)Group ; n=71と,どちらも心房細動となっていたRecurrence Group ; n=15にて比較検討を行った.
【結果】
Recurrence Groupの患者は,SR Groupの患者と比較して,より体重が重く(77.4 ± 16.0 vs. 68.7 ± 12.4 kg ; p=0.02),AFの持続化から治療までの期間が長かった(5.5 ± 3.7 vs. 2.8 ± 2.8 year ; p<0.01).治療前の心形態は両グループで左房容量(110.2 ± 24.6 vs. 83.0 ± 21.2 ml ; p<0.01)のみ有意な差を認め,右心形態について差は認めなかった.
SR Groupでは,治療から3ヶ月後に,心拍数,左房容量,左室拡張末期容積,左室収縮能の改善に加えて,四腔像での右房容積(19.5 ± 4.5 vs. 15.5 ± 3.5 cm2 ; p<0.01),三尖弁輪径(28.7 ± 4.0 vs. 27.2 ± 3.8 mm ; p<0.01)の縮小を認め,1年後も維持されていた.一方で,Recurrence Groupでは,いずれの指標も治療前後に変化を認めなかった.
【結論】
持続性AFの洞調律化から3ヶ月後には,三尖弁輪径と右房容積の縮小を認め,それは1年後も維持されていた.心房細動の持続は,左心系形態だけでなく右心系形態にも影響を及ぼしている可能性が示された.