Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
腫瘍 その他 1

(S626)

房室ブロックを契機に発見された心臓腫瘍の2症例

Two cases of cardiac cystic tumor diagnosed from atrioventricular block

米澤 理香, 橋本 修治, 柳 善樹, 城 好人, 田中 教雄, 岡田 厚, 神崎 秀明, 藤田 知之, 小林 順二郎

Rika YONEZAWA, Silyuuji HASIMOTO, Yosiki YANAGI, Yosito JO, Norio TANAKA, Atusi OKADA, Hideaki KANNZAKI, Tomoyuki FUJITA, Junjirou KOBAYASI

1国立循環器病研究センター臨床検査部, 2国立循環器病研究センター心臓血管内科, 3国立循環器病研究センター心臓血管外科

1Department Clinical laboratory, National Cerebral and Cardiovadcular Center, 2Cardiovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovadcular Center, 3Cardiovascular Surgery, National Cerebral and Cardiovadcular Center

キーワード :

【はじめに】
房室ブロックの出現を契機に偶然発見された房室結節嚢胞性腫瘍の2例を経験し,若干の知見を得たので報告する.
【症例1】
40代女性,主訴は頭痛.【既往歴】7年前Ⅰ度房室ブロック,3子出産.【現病歴】7年前に息切れ,動悸を自覚し近医でⅠ度房室ブロックを指摘されるも放置していた.今回,頭痛にて近医を受診し偏頭痛と診断されたが,本人より胸部違和感を訴えたため,心エコー検査を行ったところ,心房中隔右房側に20mm程度の腫瘤を認めたため,当院へ紹介となった.【心電図】Ⅰ度房室ブロック.【心エコー図検査】LVDd/Ds=49/36mm,%FS=28%.心房中隔から右房・左房に突出した28×28mm大の表面が円滑な腫瘤を認めた.【手術所見】右房切開するとKoch三角に位置するところに30mm大の嚢胞性腫瘤を認めた.腫瘤を切開すると内腔は液状のもので満たされていた.【病理所見】術中所見にて悪性像なし.
【症例2】
30代女性,主訴は動悸.【既往歴】紫斑病,1子出産.【現病歴】数日前より動悸を自覚し近医を受診したところ完全房室ブロックを認めた.精査のため心エコー図検査・MRI検査にて心房中隔に15mm大の腫瘤が認めたため当院へ紹介となった.【心エコー図検査】LVDd/Ds=46/24mm,%FS=49%.心房中隔の菲薄化はなく,心房中隔から右房側に突出した13×23mm大の腫瘤を認めた.腫瘤内には明らかな栄養血管と思われるような血流は認めなかった.【手術所見】右房を切開すると三尖弁中隔尖と前尖間の右房側に径20mm程度の球状腫瘤を認め,内部は黄色い泥状の液体で充満していた.【病理所見】嚢胞状腫瘤(13×13×11mm)の表面平滑で,異型は乏しく悪性像は認めなかった.
【考察】
三尖弁直下の心房中隔に嚢胞性腫瘍が発生しており,房室結節への物理的な圧迫が原因で房室ブロックが出現したと考えられた.房室結節嚢胞性腫瘍は非常にまれな良性腫瘍であるが,突然死の報告例もあり,房室ブロックの精査の際には,房室結節周囲の異常構造物の有無についても注意して観察する必要があると考えられた.文献的には女性が多く,妊娠時に分泌されるホルモンとの関連が報告されているが,剖検例で偶然に見つかる症例の方が圧倒的に多いことから,本例のように手術にいたるような症例は極めて稀と考えた.
【結語】
房室ブロックのような不整脈に対する心エコー図検査のスクリーニング検査では,心機能評価のみならず,心房中隔に限局する腫瘍の存在も念頭において観察を行う必要がある.