仙石 薫子, 大西 俊成, 大谷 朋仁, 水野 裕八, 山口 修, 戸田 宏一, 中谷 敏, 澤 芳樹, 坂田 泰史

Kaoruko SENGOKU, Toshinari ONISHI, Tomohito OTANI, Hiroya MIZUNO, Osamu YAMAGUCHI, Koichi TODA, Satoshi NAKATANI, Yoshiki SAWA, Yasushi SAKATA

¹大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学, ²大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学, ³大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学講座

¹Department of Cardiovascular Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine, ²Department of Cardiovascular Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine, ³Division of Functional Diagnostics, Department of Health Sciences, Osaka University Graduate School of Medicine

キーワード :

症例は62歳，女性．特に自覚症状ないものの，自宅での血圧測定時に徐脈であったため，近医受診．心電図にて完全房室ブロックと診断され，経胸壁心エコー図にて，左房内に塊状エコーを認め，精査加療目的に当院へ紹介となった．当院で施行した経食道心エコー図検査にて，左房内に，僧帽弁後尖P2からP3を巻き込むように付着する16×16×32mmの可動性のない低輝度の腫瘤を認めた．腫瘤は心房中隔，心室中隔にも一部付着し，内部には拡張末期に微小血流信号を認めた．腫瘤によって後尖は圧排され，強い可動制限を受けており，平均左房左室圧較差8mmHg，機能的僧帽弁弁口面積1.3cm2と，中等度僧帽弁狭窄を認めた．PET-CTにて，左房内の腫瘤に位置する部位に限局する異常集積を認め，他に集積を認めないことから，心臓原発性腫瘍であると考えられた．その後，開胸心針生検を施行し，偽炎症性腫瘍の診断に至った．
今回，左房内偽炎症性腫瘍により中等度僧帽弁狭窄をきたした一例を経験したため，文献的考察を加えて報告する．