Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
症例 大動脈弁

(S623)

大動脈弁置換術後4年目に人工弁断裂による大動脈弁閉鎖不全症を認めた一例

A case with Aortic Regurgitation due to Bioprothetic Valve Dysfunction 4 years after Aortic Valve Replacement

吉岡 和哉, 中駄 英里, 諸石 武史, 東條 正信, 山岡 誠, 橋口 遼, 川村 純子, 上田 政一, 正井 崇史, 岩倉 克臣

Kazuya YOSHIOKA, Eri NAKADA, Takeshi MOROISHI, Masanobu TOJO, Makoto YAMAOKA, Ryo HASHIGUCHI, Junko KAWAMURA, Masakazu UEDA, Takafumi MASAI, Katsuomi IWAKURA

1特定医療法人渡辺医学会桜橋渡辺病院臨床検査科, 2特定医療法人渡辺医学会桜橋渡辺病院心臓血管外科, 3特定医療法人渡辺医学会桜橋渡辺病院循環器内科

1Department, Laboratory Department, Sakurabashi Watanabe Hospital, 2Department, Cardiovascular Surgery, 3Department, Cardiovascular Medicine

キーワード :

【症例】
70歳代男性
【主訴】
息切れ
【既往歴】
201X年9月に当院で大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術(Trifecta21mm)を施行している.冠動脈において右冠動脈に50%‐75%狭窄は経過観察中 ,また慢性閉塞性肺疾患がある.【現病歴】
201X+4年6月から肺炎で2週間入院しており,退院後症状悪化し7月から1ヵ月心不全で前医にて入院していた.その後症状は改善したが心エコーで大動脈弁閉鎖不全症が重度認めていた.プロカルシトニン高値,炎症所見増高のため感染を否定しきれない事とMDCTでも冠動脈狭窄を疑われ,冠動脈バイパス術含めた精査加療目的で当院紹介となった.発熱は認めていなかったが入院当日には起座呼吸の出現を認めた.経胸壁心エコー図を施行したところ左室壁運動異常は認めなかったが,人工弁の左冠尖に相当する部位から大動脈弁逆流が観察され,幅広いジェットを認めた.前医で軽減していた僧帽弁逆流及び三尖弁逆流も増悪を認めた.弁周囲を確認するため経食道エコー図を施行,大動脈弁生体弁の逸脱像が観察され逆流は重度であり弁輪内から発生していた.弁座の動揺や膿瘍及び疣贅は認めなかった.冠動脈造影では#2に75%と#11に50%の狭窄を認め,大動脈造影においてSellersⅣで重度の大動脈弁逆流評価であった.血液培養は陰性で検出されなかった.
【経過】
大動脈弁逆流の影響で僧帽弁逆流及び三尖弁逆流も生じており,第9病日に3弁手術(再大動脈弁置換術:Crown21mm,僧帽弁形成術,三尖弁形成術)を施行した.:術中所見ではTrifecta弁は左冠尖が弁座に向かって3/5断裂していた.弁周囲に膿瘍はなく,疣贅は観察されず感染性は否定的であった.診断は構造的弁劣化(structural valve deterioration)であった.術後エコーは大動脈弁逆流を認めていない.弁置換術後の心エコー図検査は経過観察の有用性と診断への一助となった.
【結語】
大動脈弁置換術後4年目に人工弁断裂による大動脈弁閉鎖不全症を認めた一例を経験したので報告する.