川原 瑞紀, 丸尾 健, 三吉 大地, 玉井 利奈, 遠藤 桂輔, 横田 佳代子, 天野 秀生, 久保 俊介, 筑地 日出文, 門田 一繁

Mizuki KAWAHARA, Takeshi MARUO, Daichi MIYOSHI, Rina TAMAI, Keisuke ENDO, Kayoko YOKOTA, Hideo AMANO, Shunnsuke KUBO, Hidefumi CHUKUJI, Kazushige KADOTA

¹公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院生理検査室, ²公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院循環器内科

¹Physiological laboratory, Kurashiki central hospital, ²Cardiology, Kurashiki central hospital

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【背景】
近年僧帽弁や大動脈弁の手術をする際に三尖弁輪拡大がある場合には併せて三尖弁輪縫縮術がおこなわれことがある．そのため，術前，術中の三尖弁輪径計測は重要であるが，2D経食道心エコー検査（TEE）での妥当な計測断面についての検討は乏しい．そこで，TEEにおける代表的な三尖弁の2D断面を用いて弁輪径の計測を行い， 3Dにて計測した三尖弁輪径と比較し，2Dでの計測断面の妥当性を検討した．
【方法】
僧帽弁形成術前にTEEを施行した連続43症例（年齢67±12歳）を対象とした．検査には全例3DTEEプローブ（X7-2t，Philips）を用いた．TEEにおける2D計測としては右室流入流出路断面（2Din-out）とBi-plane modeを用いて直行する三尖弁断面（2Dtv）の三尖弁輪径を計測した（図）．TEEにおける3D計測としてはでは検査中に三尖弁の3Dデータセットを取得し，検査後に解析ソフト（MVQ）を用いて三尖弁輪をプロット，3D構築し三尖弁輪の短径（3Dsh）と長径（3Dlong）を求めた．
【結果】
43例中15例で中等度以上のTRを認め，17例で3Dlongが40mmを超えていた．3Dsh（32.2±6.6mm）と2Din-out（32.5±6.4）は強い正の相関（r=0.94，p＜0.001）を認め有意差を認めなかった（p=0.306）．また，3Dlong（39.1±6.6mm）と2Dtv（38.2±6.2）は強い正の相関（r=0.97，p＜0.001）を認めたが，2Dtvの方が約1mmではあるが有意に小さかった（p＜0.001）．
【結語】
2D経食道心エコーで三尖弁輪径を計測する場合には，右室流入流出路断面とその直行断面である三尖弁断面を用いることにより，三尖弁輪の短径，長径を比較的正確に評価ができる可能性が示唆された．