Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
弁膜症 1

(S611)

二尖弁に対する経カテーテル的大動脈弁置換術時における経食道エコー評価の重要性

Importance of intraoperative transesophageal echo in transcatheter aortic valve replacement for bicuspid valve

竹内 泰代, 多田 朋弥, 恒吉 裕史, 坂本 裕樹, 島田 俊夫

Yasuyo TAKEUCHI, Tomoya TADA, Hiroshi TSUNEYOSHI, Hiroki SAKAMOTO, Toshio SHIMADA

1静岡県立総合病院循環器内科, 2静岡県立総合病院心臓血管外科, 3静岡県立総合病院臨床医学研究センター

1Cardiology, Shizuoka Genaral Hospital, 2Cardiovascular surgery, Shizuoka General Hospital, 3Clinical research center, Shizuoka General Hospital

キーワード :

【背景】
従来は,二尖弁を基礎とした重症大動脈弁狭窄症における経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)適応には制限があった.通常の大動脈弁複合体に合併した大動脈弁狭窄症とは異なり,重い上行大動脈の拡張がなくても,重い石灰化や特徴的な構造によって,弁周囲逆流(PVL)が生じやすいためである.しかし,近年,デバイス性能の向上により,PVLはコントロールされ,TAVI治療で良好な治療成績を上げることが可能となった.一方で,以前として,二尖弁の治療には,十分な注意をはらう必要がある.
【目的】
経食道心エコーガイドによる二尖弁でのTAVI治療は,人工弁サイズや拡張容量決定に有用か評価した.
【方法・結果】
当院において,2015年12月から2017年11月までの期間に行った73例のTAVIのうち,二尖弁は3例であった.3例とも,術中経食道心エコー(TEE)を併用し,人工弁留置前の大動脈弁バルーン拡張(BAV)を行い,BAV時の癒合部位の拡張状況と弁輪について評価した.そのうち2例は,風船拡張時に,弁輪の中央から同心円状に拡張できず,supra-annular measurementを参考にして,人工弁サイズを選択した.1例は,バルーン拡張時に弁輪の中央から同心円状に拡張をえたため,annular measurementを適応して人工弁サイズを選択した.結果,PVLはmild以下にとどまり,合併症はなく,成功留置をえた.仰臥位での経胸壁心エコー(TTE)は,エコー窓が限定的で,バルーン拡張時,精密な解剖学的挙動を評価することが困難であった.
【考察】
非侵襲化がすすみ,局所麻酔下かつTTEによる非侵襲的なTAVI手技が広まっている.しかし,二尖弁におけるTAVIでは,CTのみでは想定しえない自己弁の拡張挙動を示すことがある.手術中のTEE評価は,我々に人工弁サイズやバルーン拡張型人工弁の場合の拡張圧の決定に,付加的判断をもたらし,術中合併症の早期発見についても貢献する.今回,我々の検討では,単施設の限られた症例における使用経験と限界はあるものの,これまでの使用経験報告等と同様であった.TEEが用いることができない合併症がなければ,二尖弁のTAVI治療時は積極的なTEE評価が好ましいと考えられた.
【結論】
二尖弁のTAVI治療において,術中のTEEによるモニタリングならびにカテーテル手技に連動した同時評価,術中迅速測定は有用性が高かった.至適かつ安全に人工弁を留置するためにTEEは重要な役割を担う.