Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
先天性

(S603)

経食道心エコー図検査で二重心房中隔に心房中隔欠損症の合併が疑われた一例

A Rare Case of Atrial Septum Defect with Anomalous Muscular Bands which Looks like Double Atrial Septum by Transesophageal Echocardiography

井手本 明子, 安部 晴彦, 西田 博毅, 加藤 大志, 篠内 和也, 粟田 政樹, 伊達 基郎, 上田 恭敬, 上松 正朗, 是恒 之宏

Akiko IDEMOTO, Haruhiko ABE, Hiroki NISHIDA, Taishi KATO, Kazuya SHINOUCHI, Masaki AWATA, Motoo DATE, Yasunori UEDA, Masaaki UEMATSU, Yukihiro KORETSUNE

国立病院機構大阪医療センター循環器内科

Cardiovascular Division, Osaka National Hospital

キーワード :

【はじめに】
心房中隔が2つの中隔により形成され,心房間に腔を形成する二重心房中隔は稀な形成異常である.今回,心房中隔欠損症(ASD)の術前評価で施行した経食道心エコー図検査で二重心房中隔を疑い,外科的治療を行った一例を報告する.
【症例報告】
症例は64歳女性.52歳時に上室性期外収縮の精査で施行した経胸壁心エコー図検査で心房中隔欠損症を指摘されている.経胸壁心エコー図検査で肺体血流比 (Qp/Qs)2.1~2.3,右心系の拡大傾向を認めるため64歳時に右心カテーテル検査を施行されQp/Qs 2.1であった.手術施行にあたり経食道心エコー図検査を施行.心房中隔は一次中隔と二次中隔の間が離れているように観察された.左房側の一次中隔には明らかな欠損孔は認めないが一次中隔を通って左右へ向かう血流を認め,右房側の二次中隔は瘤化しており3つの欠損孔が確認された.ASDのシャント血流は左房からメッシュ状となった一次中隔から中隔間を通り,多孔性の二次中隔から右房ヘと流れているものと考えた.心房中隔欠損症に対しては,自己心膜パッチを用いて閉鎖術を行う方針となった.術中所見では右房側の中隔は菲薄化し近接する欠損孔が7つ確認された.しかし,左房側には中隔は認めず,一次中隔と考えられたものは,比較的太い筋束1本と細い筋束2本であり,筋束は左房の右下壁より心房中隔につながっていた.
【考察】
経食道心エコー図検査では二重心房中隔と考えたられたが,術中所見で心房中隔に複数の筋束がつながる複雑な構造をした心房中隔欠損症であった一例を経験した.左房内に筋束様索状物を認めた文献は散見されるが,多孔性の心房中隔欠損症に多数の筋束が付着していた報告はない.鑑別を要した二重心房中隔のこれまでの報告例と本症例を比較検討する.