Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
先天性

(S602)

新生児期より症状を呈した巨大左心耳瘤の1症例

A Case of a Giant Left Appendage Aneurysm in Newborn with Symptoms

瓜生 佳世, 林原 亜樹, 古賀 恭子, 山下 尚人, 倉岡 彩子, 石川 友一, 中村 真, 佐川 浩一, 石川 司朗

Kayo URYU, Aki HAYASHIBARA, Kyoko KOGA, Naoto YAMASHITA, Ayako KURAOKA, Yuichi ISHIKAWA, Makoto NAKAMURA, Koichi SAGAWA, Shiro ISHIKAWA

1福岡市立病院機構福岡市立こども病院検査部, 2福岡市立病院機構福岡市立こども病院循環器科

1Laboratory department, Fukuoka children's hospital, 2Cardiology, Fukuoka children's hospital

キーワード :

【はじめに】
左心耳瘤は稀な疾患であるが,小児期に症状が出現することは少なく,成人になり不整脈等で発見されることが多い.今回胎児エコーで指摘され,新生児期より症状を呈した症例を経験したので報告する.
【症例】
27生日 男児
【現病歴】
在胎29週に胎児エコーにて,主肺動脈左側の低エコー域を指摘され,前医で妊娠管理となっていた.回旋異常による分娩停止で,在胎39週6日に緊急帝王切開にて娩出.心エコーで,巨大左心耳瘤と診断され,MRIでも46×26×25mmの腫瘤を認めた.哺乳や呼吸循環に問題なく,出生10日後に退院となったが,2週間後の外来定期受診時には呼吸器症状が出現,左心耳瘤の増大と瘤による心臓および気管圧迫が疑われ,当院に緊急搬送となった.
【入院時現症】
身長:52.3cm,体重:4.142kg,HR:146bpm,SpO2:100%, BP:76 /39mmHg,RR:42/min,心音:収縮期雑音 Levine 2/6,呼吸音:正常
【血液検査】
BNP:116.1pg/mL,FDP:2.0μg/mL,D-dimer:0.7μg/mL
【心電図所見】
HR:130bpm,洞調律,ST-T異常なし.
【胸部X線】
CTR:58%,上縦隔陰影の拡大を認める.
【心エコー】
EF75%(cube),LVDd/Ds:19.5/12.2mm(LVDd106%N), MR軽度,MS(-),左房径の明らかな拡大なし.左房と交通のある嚢胞性病変があり,左心耳瘤が疑われた.瘤の大きさは,47×32×29mm.瘤内に血栓はないが,もやもやエコーを呈していた.右室流出路は瘤に圧排され,流速は1.7m/sと加速していた.
【心臓CT】
前縦隔側の心嚢内に左心耳から前方へ大きさ54×32×31mmの巨大左心耳瘤を認めた.
【経過】
左心耳瘤は短期間に増大傾向で,壁が薄く破裂の危険性もあり,早期の手術方針となり,29生日に切除術を施行した.瘤は広基性で壁は菲薄化,内部に血栓はなく心膜欠損は認めなかった.術後は順調に経過し,術後16日目に退院となった.
【まとめ】
先天性巨大左心耳瘤の新生児例を経験した.左心耳瘤の多くは無症状で経過し,瘤の拡大に伴い不整脈や血栓塞栓症の合併がみられる.本症例では,出生後に急速な瘤の拡大と他臓器の圧迫症状を認め,早期の手術となった.左心耳瘤の診断と評価は心エコーでの観察が有用であった.