Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
血管

(S601)

腎うっ血における腎内静脈血流波形とIVCの関連性の検討

Relation between ultrasonic intrarenal venous flow pattern and fluctuation of IVC in the congestive kidney

山内 陽平, 島田 典明, 寺尾 陽子, 久安 莉加, 石井 雄也, 高井 沙織, 永瀬 真理子, 佐原 朗子, 友國 淳子, 筑地 日出文

Yohei YAMANOUCHI, Noriaki SHIMADA, Yoko TERAO, Rika HISAYASU, Yuuya ISHII, Saori TAKAI, Mariko NAGASE, Akiko SAHARA, Junko TOMOKUNI, Hidefumi CHIKUJI

1公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院臨床検査技術部, 2公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院腎臓内科

1Clinical Laboratory Technology Department, Ohara healthCare Foundation Kurashiki Ceantral Hospital, 2Nephrology, Ohara healthCare Foundation Kurashiki Ceantral Hospital

キーワード :

【はじめに】
うっ血性心不全は腎うっ血を引き起こし,腎機能を低下させる病態のひとつとされる.近年超音波で腎内腎静脈血流波形を評価することで腎うっ血の程度が推測できると報告されている.超音波では右心系のうっ血を下大静脈(IVC)から推測することが一般的だが,腎内静脈血流との関係を示した報告は少ない.
【目的】
超音波検査でうっ血性心不全症例における腎内腎静脈血流波形とIVCの関連性を検討した.
【方法】
対象は2016年8月~2017年11月に腎うっ血評価目的や,腎内動脈血流検査時に腎静脈血流を描出できていた心不全疑いのある34例(男性19例,女性15例,平均年齢72.4±13.1歳)である.腎内静脈血流波形パターンを連続性:A群(9例),非連続性:B群(7例),二相性・単相性:C群(18例)の3群に分類し,IVC最大径(IVCmax)mm,IVC最小径(IVCmin)mm,IVC虚脱率%との関連性を検討した.腎内静脈は葉間領域,IVCは長軸で評価した.
【結果】
IVCmax(A群:10.8±2.4mm,B群:12.5±2.9mm,C群:20.4±4.1mm),IVCmin(A群:3.4±1.2mm,B群:5.0±3.1mm,C群:14.1±4.5mm)についてC群はA群とB群より有意に拡大を認めた.IVC虚脱率(A群:68.0±11.1%,B群:63.1±19.5%,C群:30.8±18.0%)についてC群はA群とB群より有意に虚脱率の低下を認めた.また虚脱率50%以上をカットオフとするとA群は9例中9例(100%),B群は7例中5例(71%),C群は18例中2例(11%)であった.
【考察】
超音波検査でのIVC評価は腎うっ血における右心系容量負荷の簡便な指標となり得ると考えられた.腎内静脈血流波形は連続性であれば右心系の容量負荷の影響は少ないと考えられるが,二相性や単相性パターンでは心不全による中心静脈圧の上昇の影響を受け,腎うっ血を引き起こす可能性が考えられた.しかし,非連続性パターンでもIVCの虚脱が有意な例が3割程度あり,これは非連続性パターンでは軽度の右心系のうっ血を検出できる可能性が推察された.