Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
音場計測

(S596)

民生用ディジタルカメラとLED光源を用いた診断用超音波音場可視化装置の実用性検討

Feasibility of equipment for visualization of diagnostic ultrasound fields using consumer digital camera and LED light source

門田 智明, 工藤 信樹

Tomoaki KADOTA, Nobuki KUDO

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【背景・目的】
我々は超音波音場の簡便な可視化手法としてフォーカストシャドウグラフ法を提案し,LEDを用いた高画質かつ安価な可視化装置の実現性について検討してきた.本報告では,より安価で実用的な装置の開発を目的として,民生用ディジタルカメラを用いて診断用超音波音場の可視化を行った結果について述べる.
【方法】
超音波診断装置のセクタ型プローブ(中心周波数2.5 MHz)のパルス超音波音場を高音圧(超音波出力 100%)および低音圧(超音波出力 5%)の2条件で発生させた.光源としてLED(OS6OGA5111A,λ=610 nm,OptoSupply)を用い,Pulser/Receiver(1050PRJ,Accu-Tron)で駆動しパルス幅35 nsのパルス光を発生させた.撮影装置には冷却式CCDカメラ(BU-51LN/C,A/D変換精度16 bit,BITRAN)と民生用ディジタルカメラ(以下デジカメ,α7s,ISO感度800,SONY)を使用した.カメラのフォーカスは超音波焦点を原点として光源側5 mmの位置に設定した.
【結果】
超音波音場の可視化結果をFig. 1にそれぞれ一部分のコントラストを変化させて示す.(a),(c)CCDカメラによる画像に比べて,(b),(d)デジカメによる音場像は,画像にざらつきが見られた.また,音軸上の輝度分布を比較した結果をFig. 2(a),(b)に示す.輝度値はFig. 1(a)の破線間の幅0.5 mmで平均化し,縦軸はそれぞれの輝度分布p-p値で正規化した.同じカメラ位置で撮影を行うよう調整を行ったが,輝度分布の正・負のピーク値にはわずかな差が生じた.CCDカメラとデジカメのノイズ成分のRMS値(振幅)は3.9×10-3, 6.5×10-3(高音圧条件)と8.8×10-3, 1.2×10-2(低音圧条件)となり,デジカメのノイズレベルはそれぞれ4.4 dB, 2.7 dB増大していた.しかし,デジカメによる音場像の画質はパルス超音波の音場分布を把握する用途には十分であると考えられた.
【結論】
民生用ディジタルカメラとインコヒーレント光源を用いて,パルス超音波の位置や音場分布の把握に十分な画質を持つ安価な音場可視化システムが実現可能であることを示した.