Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
音場計測

(S595)

半円柱状曲面反射により生じる定在波音場のフォーカストシャドウグラフ法による可視化

Visualization of ultrasound standing wave fields generated by semi-cylindrical surface reflection using focused shadowgraph technique

相川 武司, 工藤 信樹

Takeshi AIKAWA, Nobuki KUDO

1北海道科学大学臨床工学科, 2北海道大学大学院情報科学研究科

1Department of Clinical Engineering, Hokkaido University of Science, 2Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【はじめに】
超音波の生体作用の基礎研究では,シャーレ内に培養した細胞に底面から超音波を照射する方法が多く行われている.この条件では,シャーレ内の培地と空気の界面(以下水面)で反射が起き,シャーレ内に定在波音場が生じる.生体作用の生じる超音波強度では音響放射力によりシャーレ内の水面に波立ちが生じることが多い.水面の波立ちは常に変化しフォーカストシャドウグラフの撮影には数秒程度を要するため,従来の検討では波立ちの影響を時間的に平均した音場しか撮影することができなかった[1].そこで今回,波立つ水面を模擬したファントムを作製し,その形状が音場に与える影響を調べた.
【実験方法】
直鎖含硫黄多糖類の一種であるカラギーナン3 gを約70 ℃の水100 mLに溶解し,型に流し込むことにより幅18 mm,高さ19 mm,奥行き10 mmの半円柱状のゲルファントムを作製した(Fig. 1).照明光の反射・屈折を防ぐためにファントムに光が入・出射する面にはカバーガラスを貼り付けた.このファントムを共振周波数1.0 MHzの円形平板振動子の上に置き,フォーカストシャドウグラフ法よりゲル内の音場を可視化した(Fig. 2).
【結果および検討】
波数10波のバースト超音波を発生し,撮影までのディレイを変えながら音場を観察すると,まず振動子から放射された平面進行波の伝搬が確認された.平面波がファントムの半円柱の面に到達すると反射波が生じ,進行波との干渉によりハニカム状の定在波が生じ扇状に広がっていく様子が確認された(Fig. 3,超音波照射開始後20μs).また,局所的に定在波が集中し輝度の高くなる集束点(白矢頭)が見られた.直方体の水槽を用い,水槽壁の影響が無視できる条件で行った前回の実験では,定在波音場に直線状の腹と節が現れた[1].今回のファントムでハニカム状の定在波音場が生じ集束点を形成したことは,水面の波立ちがキャビテーションの発生に大きな影響を与えることを示唆する結果である.
【結語】
水面の形状が定在波音場の形状を大きく変化させることをフォーカストシャドウグラフ法により確認した.小形の容器内の音場形成には,水以外を伝搬する音の存在や波立つ水面での反射など多くのパラメータの影響を受けるので直接可視化することの意義は高い.
【参考文献】
[1]住吉洸城他.画像差分シュリーレン法を用いた小型容器内の治療用超音波音場の可視化.電子情報通信学会技術研究報告.2015;115(116):1-6.