亀田 徹, 神山 直久, 金山 侑子, 小林 英夫, 谷口 信行

Toru KAMEDA, Naohisa KAMIYAMA, Yuko KANAYAMA, Hideo KOBAYASHI, Nobuyuki TANIGUCHI

¹安曇野赤十字病院救急科, ²GEヘルスケア超⾳波製品開発部, ³防衛医科大学校内科学2, ⁴自治医科大学臨床検査医学

¹Department of Emergency Medicine, Red Cross Society Azumino Hospital, ²Ultrasound Division, GE Healthcare, ³Second Department of Internal Medicine, National Defense Medical College, ⁴Department of Clinical Laboratory Medicine, Jichi Medical University

キーワード :

【始めに】
Bラインは胸膜部から画面深部まで伸びる高輝度線状アーチファクトを指す．肺の含気性が低下するとBラインは目立つようになり，主に小葉間隔壁の肥厚や肺胞内に液体が貯留することで生じると考えられているが，実証は得られていない．またBラインを適切に描出するための超音波装置の至適設定についても明らかではない．我々は，Bラインと同じ形態の高輝度線状エコー（Bライン状エコー）が生じる実験モデルを作成した．また超音波装置の設定が，健常人モデルのBラインと実験モデルで生じるBライン状エコーに与える影響について検討した．
【方法】
BラインおよびBライン状エコーを生じると考えられるシンプルなモデルを提示する（図1）．（a）は人体では胸壁，実験では高さ約25mmの蒟蒻，（b）は人体では胸膜部，実験ではポリプロピレンシート，（c）は人体では肺内の液体や炎症に伴う変化，実験では径2mmのエコーゼリー，短径2mmの炊飯した米粒，短径2mmの温州みかんの砂じょう（果肉の粒），径2mmの糸蒟蒻，厚さ2mmのスライス蒟蒻，径1mmと2mmのガラス球，厚さ1.3mmのガラス板，（d）は人体では肺の含気，実験では室内気となる．シート上には，上記径，厚みが走査方向に一致するように置いた．なお，米粒，砂じょう，蒟蒻は直接置いたが，ガラスの場合はシート上に薄くエコーゼリーを塗った．ガラス以外の観察では，超音波装置はGE社製LOGIQ V5，リニアプローブL6-12を使用し，tissue harmonic imaging（THI）がoffでは周波数は6-11MHzで，THIがonでは受信周波数は8-13MHzで変化させた．ガラスの観察では，GE社製Venue，リニアプローブ9Lを使用し，THIがoffでは周波数は3-8MHzに，THIがonでは受診周波数は5.6-9MHzで変化させた．Bライン，Bライン状エコーの形態と，空間compound imaging，フォーカス，周波数，THIとの関連について検討を行った．
【結果】
ゼリー，米粒ではコメットエコーが，砂じょう，蒟蒻，ガラスではBライン状エコー（図2）が描出された．健常人モデルのBライン，Bライン状エコーは，compound imagingをonにすると3本描出された．フォーカスを深くすると幅が広がった．周波数を高くすると減衰傾向にあり，特にTHIでは強くなった．
【結語】
簡便なモデルによる検討では，物体の内部性状，形状，シートとの接地状態がBライン状エコー発生に関与すると考えられた．またBラインおよびBライン状エコーは超音波装置の設定に応じて同様の形態変化を示した．