Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
超音波計測システム

(S590)

光伝搬モデルに基づいた超音波ドプラボリュームデータの三次元画像構成法に関する検討

Visualization of Ultrasound Doppler Volume Data based on Light Propagation Model

辻田 剛啓, 山浦 健治, 長谷川 遼太, 南保 洋子, 塩川 淳一

Takehiro TSUJITA, Kenji YAMAURA, Ryota HASEGAWA, Yoko NAMBO, Junichi SHIOKAWA

株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニット開発統括本部

Healthcare Business Unit, Diagnostic R&D Division, Hitachi, Ltd.

キーワード :

【はじめに】
超音波診断装置ではドプラシフトを利用した血流測定が行われており,三次元表示はカラーマップを用いた方法が一般的であるが,近年,種々の再構成方法が提案されている.
一方,半透明物質における光の伝搬をシミュレートする方法としては計算時間を要するがランダムに光の挙動をトレースするモンテカルロシミュレーション(以下,MC法)が標準的な方法となっている.
我々は前回,光の伝搬モデルに基づいた三次元画像の再構成法を提案し(以下,提案法),対象物の構造を明瞭に再現できることを報告した[1].今回,我々は提案法をドプラデータに対して適用し,従来法に比べて優位な点を明らかにし,MC法を用いた再構成法との差を明確化する.
【対象と方法】
Gammex社製Doppler Flow System 1425Aを用い直径5mmの模擬血管に対して流量1.5ml/sの模擬血流を発生させ,日立製作所製 超音波診断装置 ARIETTA 850と,VC34 プローブを用いてパワーモードにて三次元的にドプラデータを収集した.
収集したデータに対し,従来法,提案法,MC法により三次元画像を作成し,比較を行った.提案法,MC法で用いる光学パラメータは先行研究[2]による血液の光学パラメータ測定値を用いた.
【結果】
図1に結果を示す.提案法と従来法の比較では,提案法は低輝度血流の描出が明瞭であり,前後関係の認識が容易であった.色相については両者で差が見られた.MC法との比較では提案法は輪郭がやや不鮮明であり,低輝度血流の描出,前後関係,色相については両者で大きな差は見られなかった.
【結論】
従来法は輝度値よりカラーマップを参照して表示色を決定するのに対し,提案法では入射光の吸収により表示色と輪郭が作られるため,低輝度血流の輝度を保持したまま輪郭の描出が可能であった.提案手法は従来法に比べ位置関係の認識や色の再現性について優れており,血流の視認性を向上できることが示唆された.
今後は提案法に対し,よりMC法に近い結果を得られる様,検討を進める.
【参考文献】
[1]辻田 他, Jpn J Med Ultrasonics Vol.40 Suppl(2013)S421
[2]Friedel.M et al, J Biomed Opt.(2006)May-Jun;11(3)034021