Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
イメージング・信号処理

(S588)

乳房超音波CTの開発-ヒト摘出検体を用いた高速屈折補正法の腫瘍可視化性能の評価-

Evaluation of high speed refraction calibration method for ultrasound computed tomography on ex-vivo human breast cancer

坪田 悠史, 川畑 健一, 鈴木 敦郎, 寺田 崇秀, 武 文晶, 山中 一宏, 山下 啓子, 加藤 扶美, 西田 睦, 佐藤 恵美

Yushi TSUBOTA, Ken-ichi KAWABATA, Atsuro SUZUKI, Takahide TERADA, Wenjing WU, Kazuhiro YAMANAKA, Hiroko YAMASHITA, Fumi KATO, Mutsumi NISHIDA, Megumi SATOH

1株式会社日立製作所研究開発グループ, 2北海道大学病院乳腺外科, 3北海道大学病院放射線診断科, 4北海道大学病院超音波センター

1Research & Development Group, Hitachi, Ltd., 2Breast Surgery, Hokkaido University Hospital, 3Diagnostic and Interventional Radiology, Hokkaido University Hospital, 4Diagnostic Center for Sonography, Hokkaido University Hospital

キーワード :

【目的】
無被曝,無圧迫で測定可能な乳房検査用超音波CT装置を開発している.この装置によって,反射波を用いた組織構造と,組織の硬さに相当する音速値分布等の可視化ができる.これまでに開口10cmの円形トランスデューサを用いて,動物の摘出腫瘍を用いた検討を行ってきた.今回,開口を20cmに大型化し,ヒトの摘出検体を用いて,腫瘍可視化性能を再確認し,特に,屈折を考慮した音速分布の高速再構成法について,その特性を評価した.
【対象】
2017年度に北海道大学病院において乳がんと診断された患者の乳房を,外科手術直後に,生食で満たした袋に入れて,超音波CT測定を行った.
【方法】
超音波CT計測は,円形トランスデューサ(開口20cm,圧電素子数2048,中心周波数3MHz)を用い,それをモータで鉛直移動することにより3D断層のデータ取得を行った.より高コントラストな音速分布画像を作成するためには,超音波の屈折を考慮する必要があるが,従来法では計算処理時間に課題があった.そこで,屈折によって生じる到達時間の差を補正する処理と,波の直線伝播を仮定した再構成法とを別々に実行することで,高速な屈折補正法を開発した.本補正法を予め音速値が既知であるゲルファントムと摘出検体の測定データに適用し,腫瘍の可視化性能と処理速度を評価した.
【結果】
ゲルファントムにおいて,新規再構成手法によって,従来法と同等の音速コントラスト向上効果を確認した.処理の演算時間は約1/7であった.より複雑な生体試料である検体データにおいても音速コントラストの向上と組織サイズの復元の傾向が見られた.
【結論】
ヒト乳がんの摘出検体の超音波CT計測において,新規再構成手法を適用し,従来の屈折補正法と同等の音速コントラスト向上効果と,約7倍の演算高速化を確認した.