Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
エラストグラフィ1

(S577)

カラードップラせん断波映像法による乳癌の画像化

Breast cancer imaging using Color Doppler shear wave imaging

谷内 華菜, 中島 崇仁, 山崎 真有子, 石森 愛乃, 山越 芳樹

Kana TANIUCHI, Takahito NAKAJIMA, Mayuko YAMAZAKI, Yoshino ISHIMORI, Yoshiki YAMAKOSHI

1群馬大学大学院理工学府, 2群馬大学大学院医学系研究科

1Graduate School of Science and Technology, Gunma University, 2Graduate School of Medicine, Gunma University

キーワード :

【目的】
我々はCFI映像をせん断派の波面の実時間再生に使う新たなエラストグラフィ:CD SWI(Color Doppler Shear Wave Imaging)法を提案した.[1]. 従来のSWE(Shear Wave Elastography)では,せん断波の速度(または速度から導出される弾性率)が悪性腫瘍の判別のために使われている.しかし,複雑な内部構造を有する乳癌の画像化においてせん断波の速度だけではなく,CD SWI法で得られるせん断波の伝播像も内部の弾性特性の違いを観察するのに適した画像であり,速度像と伝播像の併用は乳腺の弾性特性の違いを可視化していく上で重要になるものと考えられる.本稿では,せん断波の速度像と伝播像を共に使う組織特性化の有用性を検討したので報告する.
【方法・結果】
CD SWI法をAcuson S3000(Siemens)に適用し乳癌の映像化実験を行った.この実験では 15例中10例の画像化が可能であった.得られた画像から脂肪層と乳癌部分においてピクセル単位でせん断波の伝播速度を測定し,平均とその標準偏差を求めた.さらに伝播方向についても同様にピクセル単位で標準偏差を求めた.またせん断波の振幅が相対的に低い領域の面積を測定した.このように伝播速度,伝播方向,振幅,等により得られた乳癌の画像を分類したところA,B,Cの3パターンに分類できることが分った.A:低振幅部(正常乳腺の平均振幅値の50%以下)の面積が全体の30%以上.B:伝播速度の平均が15m/s以上または伝播方向の標準偏差が0.5rad以上.C: 特定フレームでせん断波の特徴ある伝播が見られる,である.パターンAが4例,Bが3例,Cが3例であったが,図(a)は正常乳腺におけるせん断波の伝播図,図(b)はパターンBに分類された乳癌のせん断波の伝播図(図中央部に約10mmの悪性腫瘍が存在)である.正常乳腺ではせん断波の伝播方向の分散が小さくほぼ一定方向へ伝播しているが,図(b)の乳癌画像では伝播方向の分散が大きく,かつ波面の間隔が拡がり伝播速度が大きく,伝播速度と伝播方向の標準偏差の併用が乳癌の検出には有効であることが示唆された.
【結論】
10例の乳癌画像を解析した結果,速度情報と伝搬像の併用が有効であったものが3例,振幅が相対的に小さいところとして乳癌部が画像化されたものが4例,特定フレームで特異的な画像が見られたものが3例であった.このことから伝播速度,伝播像,相対振幅,特異なフレームの有無等が乳癌の検出で重要になるものと考えられた.
[1]山崎他, 第89回日超音医抄録集, 89-基-013, S542(2016).