Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
エラストグラフィ1

(S576)

カラードプラせん断波映像法の加振周波数の低周波化による生体侵入深さの改善

Improvement of body penetration depth by low frequency excitation using color Doppler shear wave imaging

伊賀 賢一, 金谷 裕司, 紺野 啓, 谷口 信行, 佐藤 威弘, 山越 芳樹

Kenichi IGA, Yuuji KANAYA, Kei KONNO, Nobuyuki TANIGUCHI, Takahiro SATOU, Yoshiki YAMAKOSI

1群馬大学大学院理工学府, 2自治医科大学病院整形外科, 3自治医科大学病院臨床検査医学

1Graduate School of Science and Technology, Gunma University, 2Orthopedics, Jichi Medical University Hospital, 3Clinical examination medicine, Jichi Medical University Hospital

キーワード :

【目的】
我々は組織表面から機械的な振動を加えせん断波を組織中に伝播させた時に,超音波カラーフロー画像(CFI)を用いて伝播を可視化する新たなせん断波エストグラフィ(Color Doppler Shear Wave Imaging : CD SWI)を提案した[1].しかし先に提案したCD SWI法ではせん断波を生体表面から印加するために,組織でのせん断波の減衰によって深部組織での映像化が難しい.本稿ではせん断波の低周波化によりせん断波の侵入深さを改善する実験を行ったので報告する.
【方法】
CD SWIはせん断波の周波数が超音波パルス繰り返し周波数の4分の1又は4分の3等で,かつせん断波の振幅が振幅条件で決まる範囲に入っているときにCFI上にせん断波の伝搬によって生じる波状パターン(せん断波の波面)が現れることを利用したせん断波の映像法である.今回,パルス繰り返し周波数の4分の1に近い73.6Hzと4分の3に近い245.8Hzの2つの加振周波数を用いて同一部位に対して比較実験を行った.プローブを固定し, 73.6Hzでは共振型ボイスコイル型加振器(長さ150mm,重さ700g)を,245.8Hzでは共振型リニア振動モータを駆動源とする加振器を用いた.共に加振器の先端に直径20mm長さ50mmの加振ヘッドを取り付けて生体表面から,せん断波を励振した.また検者の違いによる再現性を評価するために,被検者に対し検者3名で3回実験を行った.この実験ではエコー装置としてGE Logic7を使用し半腱様筋を測定部位とした.
【結果】
図(a)は加振周波数73.6Hz,図(b)は加振周波数245.8Hzでの結果で,CFI画像をPC内で画像処理しせん断波の伝播を表示(せん断波の伝播図)したものである.73.6Hzでは各検者とも速度推定の変動係数は10%以内に収まっており,また検者間の測定値の差もほぼ見られず加振周波数の低減化は実験ごとの変動係数の低減と検者間の測定値のばらつきの低減に有効に働いていることが推察された.
【結論】
加振周波数73.6Hzでは従来我々が使ってきた加振周波数245.8Hzに比べて波面がROI全体で明瞭に映像化され,低周波を用いることで従来法では実現しにくい組織深部組織での映像化を実現できることが示された.低周波数の加振を行うと得られる画像の空間分解能は低下することが予想されるが,図(a)の結果を見ると筋膜を介して波面の伝播の様子が異なることが分かり分解能の低下は骨格筋の評価に適する範囲に入っていることが推察された.
[1]山崎他, 第89回日超音医抄録集, 89-基-013, S542(2016).