Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
生体作用

(S575)

低強度パルス超音波による神経軸索の伸展制御の試み

Feasibility of low-intensity pulsed ultrasound-mediated neurite elongation

佐々木 東, 工藤 信樹, 大田 寛, 滝口 満喜

Noboru SASAKI, Nobuki KUDO, Hiroshi OHTA, Mitsuyoshi TAKIGUCHI

1北海道大学大学院獣医学研究院, 2北海道大学情報科学研究科

1Faculty of Veterinary Medicine, Hokkaido University, 2Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【目的】
外傷などによる脊髄損傷が起こった際の根本的な治療は存在しない.中枢神経の再生が困難な理由の1つは,障害部位にある軸索伸展阻害物質が神経軸索の伸展を阻害することである.そこで,低強度パルス超音波による脊髄損傷治療法の開発を目指し,本研究では低強度パルス超音波による神経軸索の伸展制御の可能性を検討する.
【方法】
ラット初代培養神経細胞(ロンザ)をラットⅠ型コラーゲン(コーニング)の上に播種し,細胞が定着後に低強度パルス超音波を単回照射した.超音波条件は中心周波数1 MHz,デューティ比10%(100パルス,繰り返し周波数1 kHz),強度30 mW/cm2とし,10分間照射した.照射後に経時的に細胞を観察し,神経突起の伸展速度および神経細胞間ネットワークの面積をImage J®にて計算した.
【結果】
通常の培養条件下の初代培養神経細胞に対して低強度パルス超音波を照射した場合,一時的に神経突起の伸展速度は上昇したものの神経細胞ネットワークの面積に大きな変化は認められなかった.
【考察】
通常培養条件下の初代培養神経細胞では,一時的かつ軽微であるものの,低強度パルス超音波による刺激効果が確認された.この条件下では超音波刺激がなくても神経突起の伸展は起こるため,大きな効果が現れなかったと考えられる.現在,細胞成長に関連する因子を取り除いた培養条件,また軸索伸展阻害物質を添加した培養条件にて低強度パルス超音波を照射して,同様の実験を行っている.