Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
マイクロバブル・キャビテーション 2

(S572)

イースト菌からの気泡キャビテーション信号観測による生体作用効果の計測

Observation of bubble cavitation signal from Yeast cell for bio-effect evaluation

橋本 哲也, 折笠 拓夢, 江田 廉, 山越 芳樹

Tetsuya HASHIMOTO, Takumu ORIGASA, Ren KODA, Yoshiki YAMAKOSHI

群馬大学大学院理工学府

Grad school of Science and Technology, Gunma Univ.

キーワード :

【目的】
ソノポレーションを用いたドラッグデリバリシステム(DDS)を実用化するためには導入効果をその場で確認し,フィードバックシステムにより効率向上を図る必要がある.複合的な現象である気泡キャビテーションの観測信号から生体作用との相関を示す信号を特定することができれば,フィードバックシステムの構築に向け大きく前進する.我々はこれまでに気泡キャビテーションの新たな観測手法として,受信RFデータから波動の逆伝搬を行うことで波源の気泡ダイナミクスを時間-位置平面上に可視化する方法(超音波ホログラフィック像再生)を提案した[1].本稿ではホログラフィック像再生を用いてイースト菌の内包ガスからの気泡キャビテーション信号を観測し,超音波照射後の発酵培養による二酸化炭素の発生量と信号の関係について調査したので報告する.
【方法・結果】
RF信号を採取するためにRSYS0003(マイクロソニック:7.5MHzリニアプローブ)を用い,5%スクロース溶液中に懸濁させたイースト菌に対し受信信号の取得タイミングに同期させた強力超音波(周波数2.5MHz)を送波する.実験ではイースト菌の懸濁液をカンテンファントム中に形成した閉空間(断面:2mm×5mm)に入れ,リニアプローブと直交する方向から閉空間の中心に焦点を結ぶように強力超音波を照射した.イースト菌は発酵反応により二酸化炭素を発生するので微小な気泡を含むようになり,これを2次超音波の信号発生源としてRF信号を記録する.超音波処置後のイースト菌懸濁液を注射筒を用いて回収し,温度を一定にしたウォーターバス内で懸濁液を培養し,20分間培養中に発生する二酸化炭素ガス量を測定した.図は強力超音波照射時に再生した縦軸をリニアプローブの方位方向x[mm],横軸を時間t[μs]としたホログラフィック像の振幅像(a),振幅値を時間方向に積算したときのx方向のプロファイル(b)である.積算値の分布から最大値の2分の1になる位置xの2点から半値幅を求めた.この半値幅が大きくなるほど,二酸化炭素ガス発生量が低くなる傾向が見られるなど興味深い結果が得られた.
【結論】
イースト菌への強力超音波照射による気泡キャビテーション信号を観測し,発酵による二酸化炭素ガス発生量と信号との関係を調べた.結果から生体作用を示す信号を観測できる可能性が示唆され,フィードバックシステム構築の一助となることが示された.
[1]折笠ら,日超医第90回学術集会90-基-035(2017)