Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
マイクロバブル・キャビテーション 2

(S571)

近赤外蛍光および超音波イメージングで機能する蛍光マイクロバブルの造影効果の検証

Contrast effect of fluorescence microbubbles in near-infrared-fluorescence imaging and ultrasound imaging

吉田 憲司, 齋藤 勝也, 江畠 将彦, 豊田 太朗, 林 秀樹, 山口 匡

Kenji YOSHIDA, Katsuya SAITO, Masahiko EBATA, Taro TOYOTA, Hideki HAYASHI, Tadashi YAMAGUCHI

1千葉大学フロンティア医工学センター, 2千葉大学工学部, 3千葉大学大学院工学研究科, 4東京大学

1Center for Frontier Medical Engineering, Chiba University, 2Faculty of Engineering, Chiba University, 3Graduate School of Engineering, Chiba University, 4University of Tokyo

キーワード :

【目的】
生体深部における微小血管系を対象にしたマルチスケールイメージング法の確立を目指し,近赤外蛍光造影と超音波造影の両者で機能する蛍光マイクロバブルを開発している.試作した造影剤を対象に臨床で使用可能な近赤外蛍光観察装置と超音波画像診断装置を使用して,両者における造影効果をファントム実験により確認した.また,生体深部における造影効果をex vivo実験により検証した.最後に,実生体組織における造影効果を確認するため,開腹下のブタ肝臓を対象にin vivo実験による検証を行った.
【対象】
実験に使用した造影剤は,近赤外蛍光造影で機能するインドシアニングリーン誘導体(ICG-C18)を担持したマイクロバブルである.マイクロバブルはリン脂質(DSPC,DSPE-PEG2000,卵黄レシチン)のシェルに覆われており,内部ガスは空気である.下記の実験では,ICG-C18を担持しないコントロールバブルを比較対照として使用した.バブルの直径は6.6±3.94mの範囲である.
【方法】
ファントム実験では,小型水槽に流路を組み合わせた簡易流路システムを構築した.二本の流路にそれぞれICG-C18バブル懸濁液とコントロールバブル懸濁液を送液し,近赤外蛍光観察装置(HyperEye Medical Systems II, MIZUHO)および超音波画像診断装置(Aplio500,東芝メディカルシステムズ)を使用して,各イメージングにおける造影効果を確認した.また,バブルを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を送液し,その際の造影効果も確認した.ex vivo実験ではトリ胸肉を使用し, 1, 5 ,15 mmの深さにICG-C18バブル懸濁液を注射器により注入し,表面からイメージングを行った.in vivo実験では,開腹下のブタ肝臓を対象に動脈もしくは門脈に直接バブル懸濁液を投与し,肝臓表面から内部脈管構造を観察した.
【結果】
ファントム実験において,マイクロバブルを含まないPBSを送液した場合,近赤外蛍光および超音波イメージングとも造影効果は確認されなかった.コントロールバブルの場合,近赤外蛍光では造影効果はなく,超音波のみで造影効果を確認した.ICG-C18バブルの場合では,両者のイメージングで送液したバブル懸濁液が流れるチューブを明瞭に視認でき,造影効果が確認された.ex vivo実験では,近赤外蛍光イメージングにおいて深部15 mmの場合は造影効果が確認されなかった.超音波イメージングではすべての場合において明瞭にバブルの存在が確認された.in vivo実験では,肝臓の脈管構造を確認することができ,外科手術における術中ナビゲーション手法としての応用の可能性が示唆された.
【結論】
 試作したICG-C18マイクロバブルは近赤外蛍光造影および超音波造影の両者において良好に機能することを確認した.