Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
マイクロバブル・キャビテーション 2

(S569)

超音波照射条件に対する細胞-微小気泡凝集体の流路内捕捉効果とその解析

Analysis of trapping effect of bubbles-surrounded cells in the path according to the condition of ultrasound emission

大塚 拓也, 追立 理喜, 関 政和, 桝田 晃司, UNGA Johan, 鈴木 亮, 丸山 一雄

Takuya OTSUKA, Riki OITATE, Masakazu SEKI, Kohji MASUDA, Johan UNGA, Ryo SUZUKI, Kazuo MARUYAMA

1東京農工大学大学院生物システム応用科学府, 2帝京大学薬学部

1Graduate School of Bio-Applications and Systems Engineering, Tokyo Univ. of Agriculture and Technology, 2Faculty of Pharma-sciences, Teikyo Univ.

キーワード :

【目的】
我々は,免疫細胞療法などに応用するため,細胞の周囲に微小気泡を付着させた凝集体を形成[1]し,音響放射力を利用して細胞を血流中で運搬するための技術を開発している.これまで,細胞に付着した微小気泡の存在が音波に対する凝集体の制御性に影響する事を,実験結果を中心に示してきた[2].今回は治療対象部位における凝集体の集積を目的として,局所的超音波照射に対する捕捉効率に関して検討した結果を報告する.
【対象】
本研究で対象とする細胞として,ウイルス等の細胞内病原体に対する免疫防御に重要なCD8陽性Tリンパ球を用いた.同細胞のサイズは10-20 μmであり,抗原を認識し活性化されると腫瘍細胞を殺傷する機能を有する.また同細胞に特異的に付着する微小気泡として抗 CD8 抗体を修飾したバブルリポソームを導入し,先行研究と同様の条件で細胞表面に共有結合させ,凝集体を形成した.
【方法】
水槽中にはポリビニルアルコールにて成形された流路幅0.5~1.4 mmの範囲の多分岐型流路を設置し,凝集体を含んだ懸濁液を通過させた.水槽底面には平板型単板トランスデューサを設置し,蛍光顕微鏡の視野内に焦点を形成するような実験系を構築した.ここで形成した単焦点音場中の凝集体の動態を蛍光顕微鏡により観測した.同様の計測を様々な周波数,最大音圧に対しても適用し,凝集体の挙動を解析した.比較実験として抗 CD8 抗体を有しない微小気泡を懸濁した場合と,微小気泡を含まない条件でも行った.
【結果】
Fig.1では,幅1.4 mmの流路に対して右方向に10 mm/sの速度で通過する懸濁液に対し,周波数3 MHzで最大音圧400 kPa-ppの平面波を30 s照射した場合の凝集体の挙動である.音波を照射することによって,2.1 mm2程度の捕捉面積を確認した.周波数に対する捕捉面積の変化について,3~7 MHzの範囲では低周波になるほど捕捉面積が向上した.また抗 CD8 抗体を有しない微小気泡では,捕捉面積が1/3程度に減少した.
【結論】
本実験により,細胞を包含した微小気泡凝集体の捕捉効果を確認し,それらを制御するための音場の条件を検討した.
【参考文献】
[1]F. Demachi, et al, Jpn. J. Appl. Phys. 54(2015)07HF19
[2]R. Oitate, et al, Jpn. J. Appl. Phys. 56(2017)07JF25