清水 円, 中島 俊樹, 河原 理恵, 山本 博子, 橋本 求, 中坊 周一郎, 富澤 琢也, 山本 渉, 伊藤 宣, 藤井 康友

Madoka SHIMIZU, Toshiki NAKAJIMA, Rie KAWAHARA, Hiroko YAMAMOTO, Motomu HASHIMOTO, Shuichiro NAKABO, Takuya TOMIZAWA, Wataru YAMAMOTO, Hiromu ITO, Yasutomo FUJII

¹京都大学大学院医学研究科人間健康科学専攻, ²京都大学医学部付属病院免疫・膠原病内科, ³京都大学医学部付属病院リウマチセンター, ⁴京都大学医学部付属病院整形外科, ⁵倉敷スイートホスピタル診療情報管理部

¹Department of Human Health Science, Kyoto University Graduate School, ²Department of Rheumatology and Clinical Immunology, Kyoto University Hospital, ³Center for Rheumatic Disease, Kyoto University Hospital, ⁴department of Orthopaedic Surgery, Kyoto University Hospital, ⁵Department of Health Information Management, Kurashiki Sweet Hospital

キーワード :

【目的】
肘関節は関節リウマチ（RA）の疾患活動性を示すDAS28に含まれているが，過小評価されやすい．また，肘関節に焦点を当てて関節エコーを行った研究は少なく，肘のエコー所見と機能の相関を調べた報告もほぼない．
本研究の目的は，寛解患者における，肘のエコー所見と機能の相関を調べることである．
【対象と方法】
Kyoto University Rheumatoid Arthritis Management Alliance（KURAMA）コホートに登録したRA寛解患者95名を対象とし，肘の関節エコーを施行した．超音波装置は東芝社製Aplio400，12MHzリニア探触子を使用し，グレースケール（GS）を日本リウマチ学会のガイドラインに沿って0-3の4段階で評価した．また，質問法による肘の機能評価を行い，HAQ，PREE（Patient-rated Elbow Evaluation）としてエコー所見との相関を検討した．
【結果】
寛解患者95名のうち，臨床所見を認めたものは4名（4.2％）であったが，エコーで所見を認めたものは40名（42.1％）で，エコーの方が滑膜炎の検出率が高かった．エコー所見とHAQの間には弱い正の相関（r=0.21, p=0.04）があり，PREEとの間にも弱い正の相関（r=0.22, p=0.04）があった．特に，HAQでは手を主に使う「食事」のカテゴリーと正の相関があった（r=0.23, p=0.02）．また，PREEではPREE-Fと正の相関を示し（r=0.24, p=0.02），中でも，日常動作に関係するPREE-UFとの間に弱い正の相関が認められた（r=0.21, p=0.04）．
【結論】
寛解患者において，エコー所見とHAQ，PREEの間にはそれぞれ正の相関があった．このことから，寛解患者であっても，エコー検査を行うことで肘のADLをある程度予測することができると考えられる．また，エコー所見がある患者の治療強化を行うことでADL改善につながる可能性がある．