Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

共同企画
日本超音波検査学会との共同企画 泌尿器科専門医が検査士に求めるもの・検査士が提供できるもの

(S548)

腎臓の悪性疾患 - 腎細胞癌 -

Malignant tumor of the kidney - Renal cell carcinoma -

柴田 陽子, 西村 貴士, 山本 新吾, 廣田 誠一, 飯島 尋子

Yoko SHIBATA, Takashi NISHIMURA, Shingo YAMAMOTO, Seiichi HIROTA, Hiroko IIJIMA

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学肝・胆・膵内科, 3兵庫医科大学病院病理部, 4兵庫医科大学泌尿器科

1Depertment of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan, 2Depertment of Internal Medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan, 3Depertment of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan, 4Depertment of Urology, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan

キーワード :

【はじめに】
超音波検査はスクリーニングとして高頻度に使用され,その中で腎の腫瘤性病変に遭遇することもまれではない.腎の腫瘤性病変における腎細胞癌の比率は高く,典型所見が得られない場合,いかにして良性病変を除外するかが臨床医の求めるものの一つとなる.
腎腫瘤の鑑別診断は,その形態からまずは充実性と嚢胞性腫瘤に分けて考える.そして,悪性腫瘍と診断した場合は,①発生部位,②腫瘍組織型の推測,③浸潤の有無,④転移の有無,⑤腎周囲の脈管などを観察し,診断やその先の手術を踏まえた所見になるよう記載することが重要となる.
【症例】
60歳代女性
【主訴】
特になし
【現病歴】
健康診断にて,高γ-GTPの指摘を契機に腹部CTを施行.右腎腫瘍を指摘され当院精査目的のため入院
【検査依頼内容】
腎腫瘍の精査,肝転移の有無,浸潤の有無について
【患者データ】
既往歴 高血圧・虫垂炎術後,家族歴 特記すべきことなし
身長/体重=158cm/65kg,BMI=26と軽度肥満
血液検査データ:末梢血 正常,生化学 UA 5.9mg/dl,CRE 0.59mg/dl,BUN 17mg/dl,γ-GTP 33U/l ,尿蛋白陰性,尿潜血陰性.
【画像所見】
超音波検査では,右腎上極から中央にかけて境界不明瞭な71×69×44mmの腫瘍を認めた.内部に一部無エコー領域を認め,充実部分は豊富な拍動性の血流シグナルがみられた.腫瘍は腎静脈内へ浸潤し,IVC入口部付近まで進展していた.腹部造影CT検査では,腫瘍はearly enhancement,late phase wash outを示し,腎癌と診断された.腫瘍は腎門部に突出する形状を示しておりIVCを圧排していた.
【経過】
右腎細胞癌(T3aNoMo)と診断され開腹右腎摘出術を施行された.
【手術所見】
腫瘍割面は赤褐色を呈していた.
【病理所見】
小型濃縮状の核と淡明な胞体を有する腫瘍細胞が胞巣状に配列しながら増殖しており,淡明細胞癌と診断された.腫瘍は内部に出血が目立ち,腎静脈およびその分枝内に存在していた.
【まとめ】
超音波検査は,リアルタイム性,分解能に優れた検査法である.私たち技師は,臨床側へ病態に即した次の検査や診療の手段を示唆できる様な良好な情報を提示することが大切である.どうすれば適切な画像や意味のある所見が得られるかといった走査と病態の知識の融合が,診療科に提供できる良いレポートになると考える.