Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・技を究める 血管エコー
血管エコー3 血管エコー技の伝承 教育システムを考える

(S523)

どのようにして血管エコーの技を伝承するか?

How do I pass down the technique of vascular ultrasound?

佐藤 洋

Hiroshi SATO

関西電力病院臨床検査部

Department of clinical central laboratory, Kansai Electric Power Hospital

キーワード :

序言:どのようにして血管エコーの技を伝承するか? 血管エコーは,体表面アプローチだけでも,頸動脈,大動脈,腎動脈,上肢動脈,下肢動脈,大静脈,下肢静脈,さらにはバスキュラーアクセスなど多項目の検査が存在する.所属する医療機関の診療範囲において,個人が求められる項目は当然ことなるので,必ずしも全てを習得する必要はない.
 技の伝承方法:どのような機会で技を伝承できるのかといえば,①自身の医療機関において自己施設スタッフや,外部からの研修生に対してトレーニングを行うもの,②各種講習会(講義,ハンズオンセミナー)においてトレーニング行うもの,③テキストや動画による自己トレーニングなどのように大きく分けて3種類と考えられる.おそらくこの3つのなかでどれか1つだけで技を伝承できるのではなく3種類とも必要である.
伝承する側に求められる能力:①臨床現場での1検査ごとの指導能力,②講習会などでのプレゼンテーション能力(自験例のみでなくエビデンスに基づいた内容),③文章作成能力,映像作成能力
学ぶ者のゴール:技の伝承のゴールを日常検査ができるようになることとするならば,その求められる条件は以下のものが挙げられる.明確な到達目標設定も重要である.①病態を正しく評価できる.②超音波装置を適切にセットアップできる.③診断価値の高い画像を記録できる.④対象となる疾患の診療ガイドライン(疫学,身体所見,重症度分類,合併症,治療法選択など)を承知している.⑤治療法とくに血管内治療や血管外科手術の術式が理解できる.⑥病態を的確に表現した報告書を作成できる.
伝承する側に求められる能力:
技の伝承の本質:技の全てを伝えるのではなく,知識や技術を習得する意識を持たせることが本質と考える.①血管エコーの技を習得するためには,患者の症状と身体所見から病態を推定できる.②診療カンファレンスに積極的に参加,③自分自身で検査を行った症例の,治療経過を追跡することは大切,④同時に他の検査結果,特に画像診断を所見ではなく自分自身で読み解く技術も大切である.