Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・技を究める 血管エコー
血管エコー1 さまざまな血管診療に超音波検査を活かす

(S515)

当院で行われている形成再建外科領域の超音波評価

The role of ultraonography in Plastic and Reconstructive Surgery

江藤 博昭, 関 謙太朗, 佐藤 洋, 寺村 智, 松末 武雄

Hiroaki ETOH, Kentaro SEKI, Hiroshi SATO, Satoshi TERAMURA, Takeo MATSUSUE

1関西電力病院臨床検査部, 2関西電力病院形成再建外科

1Division of Clinical Laboratory, Kansai Electric Power Hospital, 2Division of Plastic and Reconstructive Surgery, Kansai Electric Power Hospital

キーワード :

形成外科は主として体表面とそれに近い組織,器官の先天異常,外傷,腫瘍などによる障害に対して形態的のみならず,機能的にも可及的正常に再建することを目的としている.当院の形成再建外科は,顕微鏡下に血管や神経を繋ぐマイクロサージャリーによる形成術や再建術を得意とし,自家組織移植による治療を行なっている.具体例として,切断指趾の再接着や欠損指の再建,悪性腫瘍切除後の再建などが挙げられ,特に足趾移植による欠損指の再建手術に関しては全国でも随一の件数を有している.現在,形成再建外科で行われている再建術のうち,エコー評価を用いているものとしては,欠損指の再建術前と乳癌術後の乳房再建術前,さらに術後の皮弁評価となっている.
欠損指の再建方法としてはWrap-around flap法が用いられている.これは,足の第1趾の一部を用いて指を作成する方法であり,必要な爪の幅や指の長さなどを詳細に計測して移植片を作成することで,健側と非常に近い形態を再現することが可能となる方法である.足背から第1趾へと連続する血管柄を長く採取する場合には第一背側中足動脈(FDMTA)を含めて移植組織を摘出することになる.このFDMTAの血管走行は解剖学的変異が多く一定しておらず,走行パターンにより術中の処置が異なってくる.この解剖学的変異の確認のためにエコー評価が用いられている.術前評価によりFDMTAの解剖学的変異が明らかになるとともに,血流優位な血管がどの領域を走行しているかを理解することができる.
乳癌術後の乳房再建方法としては,肩甲皮弁や下腹壁動脈穿通枝皮弁など様々な皮弁を用いた方法が行われている.穿通枝や皮弁動脈の走行位置を術前に同定することにより,正確な皮弁デザインが可能となるが,とくに穿通枝の位置には個人差がある.そこでエコーによりこれらの動脈の走行や,穿通枝の位置を同定することにより,皮弁デザインに役立てている.
術後の皮弁評価では移植片への動脈血流が保たれているかをエコーで評価している.
本シンポジウムでは上記内容に関して図表を含めて提示する.