Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・技を究める 腹部エコー
腹部エコー2 技を究める~肝臓~

(S499)

肝腫瘍を走査する上での注意点

Ultrasound Imaging of Hepatic Tumors

山本 幸治, 福本 義輝, 清水 敦哉, 白木 克哉

Koji YAMAMOTO, Yoshiteru FUKUMOTO, Atsuya SHIMIZU, Katsuya SHIRAKI

1済生会松阪総合病院超音波検査室, 2済生会松阪総合病院消化器内科

1The Division of Ultrasound, Saiseikai matsusaka general hospital, 2Department of Internal Medicine, Saiseikai matsusaka general hospital

キーワード :

 超音波検査は,日常診療には欠かせない検査項目の一つである.そのため,検査にあたる検者の知識や技術により診断能力に差があってはならない.検査は,だれもがプローブをあて画像を描出して結果を記載することは可能である.しかし,検者の力量により診断能力が低下することは許されません.しかし,現実的には,力量の差が著名に表れることも事実である.それを少しでも回避するために検査前に診療情報をしっかり入手して検査に臨む必要があると思われます.そして,技術面で見逃してはいけない領域が無いことや知っておかなければいけない知識が必要となります.今回は,肝腫瘍を走査する上での注意点などについて代表的な症例を提示し概説する.
【評価ポイント】
1. 腫瘍の位置(肝表面,辺縁,尾状葉などの検索)
2. 腫瘍のサイズ,形状,被膜の有無
3. 腫瘍内のエコーレベル,内部構造の変化
4. 腫瘍内の血管描出,血管構築把握,流入・流出血管の把握,血流波形分析,シャントの有無
5. 腫瘍の硬さの評価
6. 腫瘍内のクッパー細胞の有無(ソナゾイド超音波検査)
【肝腫瘍を評価する走査のポイント】
1. 腫瘍の検索については,見落としは厳禁であるために,肝表面,辺縁,尾状葉の検索はしっかり行う必要がある.特に左葉外側区域は消化管のガス像の影響をうけるため体位変換も必要である.肝表面に関しては表在用のプローブも使用し評価するとよい.
2. 右葉のS5,S6領域の辺縁,S8(ドーム直下)領域は肋間走査,肋弓下走査などで多方面から検索する必要がある.
3. 腫瘍の辺縁(被膜の有無など),腫瘍内のエコーの輝度,内部の構造(均一・不均一)などの評価も非常に重要である.客観的な評価であるため個人差があるのが現状である.評価は検者間で評価内容を統一することが重用と考える.
4. 腫瘍内への流入血管と腫瘍からの流出血管を確認する.そして血管構築と血管成分を把握し解析する.その手法としては,カラードプラ,パワードプラ,Advanced Dynamic Flow(ADF),Micro flow Imaging(MFI),Superb Micro-vascular Imaging(SMI)などがある.特に,SMIは低流速血流が把握できるため有用性は非常に高い.早期肝細胞癌においては,門脈血流支配の血管の把握が重要と思われる.さらに,辺縁のシャントなども評価する必要がある.
5. 腫瘍部の組織の硬さについてはエラスト値などで定量化が進んできたので応用し評価することも必要であると考える.Shear Wave Elastographyにおいては,等高線で腫瘍部の剪断弾性波の伝搬の速さが把握でき,腫瘍の硬さの程度を周囲の肝臓と比較可能である.
6. 造影超音波検査で,動脈早期での血管構築と染影状態,後期でのクッパー細胞の有無を把握して各種腫瘍の鑑別を行う.特に腫瘍内の血流動態(血管構築)が僅かな血流においても評価可能である.Sonazoidは,超音波の中低音圧で微小気泡を共振させた時に発生するハーモニック信号に造影効果を得るために連続的にリアルタイムに造影効果が比較的簡単に観察でき多方面から何度も観察可能である.さらに,造影剤が肝臓のkupffer細胞に取り込まれるため腫瘍部分が明瞭に把握できることなどから造影超音波検査による肝腫瘍診断がより身近なものになり診断能力が向上した.
【症例提示】
今回は,肝血管腫,FNH(限局性結節性過形成),転移性肝がん,肝細胞がんなどの症例について概説いたします.肝臓腫瘍の実際の症例を供覧しながら,診断ポイントについて解説いたします.明日からの超音波診断に貢献できれば幸いです.