Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・技を究める 心エコー
心エコー1 誤診を招かない計測を究める

(S484)

左心系の計測を究める

To develop the accuracy of left-chamber measurement

紺田 利子

Toshiko KONDA

神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部

Clinical Laboratory, Kobe City Medical Center General Hospital

キーワード :

【はじめに】
誤診を招かない計測を行うには,適切な断面を描出し統一した手技を用いて再現性のある計測を常に心がけることが大切である.今回は,心腔計測時に誤診しかねない症例などを提示し計測におけるピットホールを挙げて解説する.
【左室径計測; ASEガイドラインの変遷】
2015年のASEガイドラインでは,左室径の計測部位は腱索レベルから僧帽弁の尖端もしくは,その直下に改正された.改正後の計測部位を使用する場合は新たな問題点を理解し,さらに,従来の計測部位による計測値を併記することが望まれる.計測時相はガイドラインによると従来のMモード法ではなく,断層法を用いて拡張末期は僧帽弁閉鎖直後の最初のフレームもしくは左室径または左室容量が最大となる時相,収縮末期は大動脈弁が閉鎖直後もしくは左室径または左室容量が最小となる時相としている.
【壁厚計測】
壁厚計測は僧帽弁の弁下組織や右室中隔帯, 仮性腱索などの構造物を壁厚として計測しないように多断面で観察後に計測する.また,心電図所見では左室肥大を認めるが心エコー図では正常範囲内の壁厚の場合,まず乳頭筋肥大の有無を診断し, 心拡大があれば心筋重量係数も追加して評価することが望まれる.S字状中隔症例ではその成因が基部肥厚によるものか,あるいは大動脈の蛇行によるもので壁肥厚は認めないのか,その形態を注意深く観察する必要がある.
【左室容量計測】
左室容量計測は,心尖部断面で内腔を最大に描出し,心尖部を固定したまま断面をかえて,2断面の長径誤差は10%未満となるように計測する.
駆出率の計測は心内膜面の同定とトレースがキーポイントである.乳頭筋や仮性腱索,血栓などの異常構造物を除外してトレースできるように動画像で基部2か所・中部2か所・心尖部1か所の5ポイントの目印を決めてから静止画面でトレースする.また,定期的にカンファレンスなどで同一動画を供覧し,目視法を用いての収縮率や逆流量を全員で確認し合うことにより,熟練度による検者間のばらつきや手技間のばらつきを減らす努力が必要である.
【左房計測】
左房拡大は前後径だけでなくmodified Simpson法による左房容量係数を用いて評価することがASEガイドラインで推奨されている.左房機能の評価は最大値だけでなく駆出率も算出するとよい.