Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 運動器
パネルディスカッション 運動器2 先への一歩~超音波ガイド下手術~

(S478)

超音波ガイド下切離・切除(上肢)

Ultrasound guided surgery: Removal and Release (Upper Extremity)

服部 惣一, 大内 洋

Soichi HATTORI, Hiroshi OHUCHI

1亀田メディカルセンタースポーツ医学科, 2東京医科歯科大学大学院医歯薬総合研究科臨床解剖学

1Department of Sports Medicine, Kameda Medical Center, 2Unit of Clinical Anatomy, Tokyo Medical and Dental University, Graduate School

キーワード :

【はじめに】
超音波ガイド下のインターベンションとして「ブロック注射」に関してはこれまで多くの書籍・論文が出版されてきた.それに比較して整形外科医が得意とする「手術」については報告がまだ稀少である.今回は上肢のエコーガイド下手術について報告する.
1.切除:
レントゲン透過性の高い有機物質や,術中レントゲンでは同定困難なサイズの石灰や骨の切除がエコーガイド下にて可能である.
1-1 異物摘出におけるエコーの有用性は,主に救急医療の分野から多くの報告がなされている.特に木片などに対してその威力を発揮する.脱転した非金属製のアンカーの摘出や切削にも役立つ.
1-2 皮下や筋内に貯留した多量の血腫に対してもエコーガイド下での除去は有用である.
1-3 石灰沈着性腱炎における石灰摘出では関節鏡や内視鏡下での同定に難渋する場合もあるが,術中のマーキングがエコーガイド下で可能である.関節内遊離体も関節鏡や術中レントゲンを使用せずに摘出できることもある(図1).
2.切離:
組織の絞扼の原因となる腱鞘や支帯の切離や,治療に難渋する腱付着部症や腱炎に対するリリースにおいてエコーガイド下手術の有用性が近年示されてきている.
2-1 ばね指に対する腱鞘切開術では,従来の直視下法や経皮法と比較して低侵襲で合併症の少ない方法としてエコーガイド下切開法が開発されてきた.
2-2 手根管症候群における横手根靭帯リリースにおいて,経皮的手術にエコーを併用することで,神経血管束を認識しながら安全な切離が低侵襲で可能であることが示されてきている.
2-3 外側上顆炎に対する治療として近年エコーガイド下の共同伸筋腱切離術の有用性が報告されてきている.また特殊なエコーを使用し変性部を破壊し切除する方法も開発され良好な治療成績を上げている.
2-4 肩の領域では上腕二頭筋腱炎(症)に対してエコーと特殊なデバイスを使用しての切離術が研究されている.また凍結肩におけるエコーガイド下関節包リリースの報告もあるが,まだ臨床応用はされていない.
【結語】
上肢手術に関するエコーガイド下切除・切離について報告した.