Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 運動器
シンポジウム 運動器1 はじめの一歩~運動器の超音波解剖~

(S466)

骨の超音波解剖~画像所見とその解釈~

Evaluation of normal and abnormal bone using ultrasonography

皆川 洋至

Hiroshi MINAGAWA

医療法人城東整形外科

Joto Orthopedic Clinic

キーワード :

 骨は超音波がほとんど通過しないため,骨表面(骨輪郭)が連続性ある線状高エコー像として描出される.線状高エコー像を示す骨輪郭上には線状低エコー像の骨膜が観察できる.成長期では,骨端と骨幹端の間に低エコーを示す成長軟骨がある.靱帯,腱付着部の骨輪郭は特徴的な形状を示し,再現性ある画像描出の指標になる.骨折例では,血腫が肉芽に置換し,仮骨が形成されていく修復過程を血流状態の変化とともに経時的に観察できる.単純X線写真で見逃されやすい腱や靭帯付着部の裂離骨折,肋骨骨折などの診断に威力を発揮する.
1. 骨輪郭の不連続像discontinuity of diaphysis
 骨折に特徴的な所見で,通常骨折部周囲には血腫,さらに骨膜肥厚が観察できる.単純X線写真で見落とされやすい肋骨骨折,成人の上腕骨大結節骨折,小児の上腕骨外顆骨折,靭帯裂離骨折,離断性骨軟骨炎の診断に威力を発揮する.
足関節外果骨折(足関節外側走査・長軸像)
肋骨骨折(肋骨長軸像)
上腕骨大結節骨折(肩外上方走査・長軸像)
小児上腕骨外顆骨折(肘外側走査・長軸像)
小児上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(肘後方走査・長軸像・左右2画面表示)
2. 骨輪郭の不整像abnormal contour of diaphysis
 X線評価が難しい疲労骨折の早期治癒過程で現れる仮骨に特徴的所見である.骨膜で形成された仮骨は不整な骨隆起として描出され,あたかも大仏の髪型“螺髪(らほつ)”のように見える(螺髪サイン Buddha’s spiral hair sign).
中足骨骨幹部疲労骨折(足背走査・短軸像) 
脛骨骨幹部疲労骨折(下腿内側走査・長軸像)
3. 骨膜肥厚periosteal thickening
X線診断できない早期疲労骨折に特徴的所見で,骨輪郭表面の骨膜肥厚が大仏の頭に射した後光のように見える(後光サインBuddha’s halo sign).
中足骨骨幹部疲労骨折(足背走査・短軸像)
脛骨骨幹部疲労骨折(下腿内側走査・短軸像)
≪骨病変の観察・評価ポイント≫
・疼痛部,特に圧痛点を中心に骨輪郭の異常をスライド走査し観察する.
・骨輪郭が鮮明に描出されるよう扇状走査する.
・痛みが強い場合はゼリーを多めにし軽くプローブを当て観察する.
・骨折診断は骨輪郭の途絶と骨膜肥厚で判断する.
・骨膜肥厚は2画面表示で厚み,血流の左右差を比較する.
・疲労骨折診断は2つの大仏サインに注目する.