Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 血管
パネルディスカッション 血管1 血管エコーのスタッフ育成:私達はこうしています

(S460)

教育プログラムシステムの活用と課題

Utilization and problem of educational system

三木 未佳, 三木 俊, 船水 康陽, 伊藤 記彦

Mika MIKI, Takashi MIKI, Yasuharu FUNAMIZU, Norihiko ITO

東北大学病院診療技術部生理検査センター

Physiological center, Tohoku university hospital

キーワード :

【生理検査センターの背景】
 当院の生理検査センターが発足して,6年になる.大学病院で生理検査が独立した初めての組織である.それまでは,検体検査,生理検査含め検査部として検体検査とのローテーションや夜勤,採血業務も実施してきた.当時の病院長が,生理検査と検体検査を分けた組織を作ることで,それぞれの専門性を追求しつつ,大学病院の使命である「臨床・研究・教育」により精通するように環境を整えてくれた.現在,生理検査センターは4部門に分かれており,超音波はその一つである.
【超音波部門の教育体制】
 循環器超音波と腹部超音波が分かれている施設が多い中,当院の超音波検査は分野を分けることなく検査を行い,その中から自分の専門を持って研究や発表を行っている.とはいえ,未経験者がはじめから一度にいろんな部位の検査を習得するには無理があるため,部内ローテーション時に必要な検査担当者を育てるための教育訓練を計画している.
【教育訓練の流れ】
 生理検査の精度管理として,2016年11月にISO15189の認定を受けた.ISO15189の認定取得前は,ISO9001の認証を受けており,検査結果の品質管理を行ってきた.ISOではPDCA(Plan,Do,Check,Act)サイクルが基本であり,計画を立て実施,期間をおいて進捗状況を確認,次の目標を設定し実施するということを繰り返し行っている.また当院では,主任以上の役職にリーダーシップ研修として3か月のコーチング研修を行っている.コーチングの手法を使って,目標を設定し,そこに近づくためには何が必要かを研修者と一緒に考え,スキルアップできるようサポートしている.教育訓練をスムーズに行うために,指導者と研修者が主観的に施行できる教育プログラムシステムを構築している.
【教育プログラムについて】
 教育プログラムは,具体的に何を行えばいいか,到達点はどこなのかが明確になることが利点である.検査手順書は検査項目毎に作成しているが,手順書とは別に,教育プログラム内に基本の描出,計測項目などが記載されているので,どのような描出方法を覚えればいいのか,目標症例数など,研修内容を確認しながら検査を習得していくことができる.欠点は,稀少症例や独り立ちした後のフォローアップである.
【まとめ】
 超音波検査は,個人の技量によって検査結果が左右されるものである.しかし最近は,その技量の差をなるべく少なくし,精度管理を行う方向に向かっている.日本超音波医学会のガイドラインやハンズオン研修会,血管に関する教科書も多く,これだけ血管超音波が普及している現在,組織としてもシステム的に教育を行い,独り立ちさせることは,検査内容のレベルアップにつながっていると考えている.ディスカッションでは,今後の課題やISOの活用法等について述べたい.