Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 血管
シンポジウム 血管4 血管エコーの新たな展開

(S457)

Ultrafast Doppler

平井 都始子

Toshiko HIRAI

奈良県立医科大学附属病院総合画像診断センター

General Diagnostic Imaging Centeer, Nara Medical University Hospital

キーワード :

全く新しいドプラ法であるUltraFast Dopplerについて紹介する.
従来のドプラ法では,ROI内に細いビームを順に送受信して1枚の画像を作ることで空間分解能の良い画像を得ているため,低流速で空間分解能の高いカラードプラ像を得ようとするとフレームレートが低下するなどの制約があり,流速レンジの調整が必要で,パルスドプラ法で任意の2部位以上の血流波形を同時に撮ることは出来ない.しかし,UltraFast Dopplerは平面波の送受信による,送信時のフォーカスをなくした高フレームレートでのデータ取得技術をベースにしたドプラ法であるため,流速レンジはデータ収集後に調整でき低流速の血流感度に優れたカラードプラが高フレームレートで描画可能になっている.さらに,断面を固定して数心拍のカラードプラ画像データを収集すれば,後で任意の部位の血流波形を最大3か所同時に表示することが可能である(図).血管領域ではカラー表示と共に血流波形の評価が非常に重要であるが,適切な部位で十分に調整された血流波形を撮るには技術と時間がかかり,特に腎動脈病変の評価など深部にある細い血管の血流波形を撮るのは難しい.UltraFast Dopplerは任意の部位での血流波形の計測を非常に簡便なものにしてくれるため,運動負荷などによる血流変化をモニターすることにも役立つと思われる.また,同じ断面に描出した血管の同時相の血流波形を並べて表示することが可能になるため,大動脈解離の真腔と偽腔,静脈と動脈など同一断面に描出できれば,同時相の血流波形を比べることにより新たな知見を見出す可能性もある.さらに,断面内の血流波形をどの部位でも後で計測できるため,Resistive Indexをパラメータとしたカラーマッピングなどこれまで得られなかった情報を得ることも可能である.今後,血管領域だけでなく他の領域でも機能診断に迫る新しいツールとして非常に期待される.
参考文献
1)Jeremy Bercoff, et al. : UltraFast Doppler Quantification tool available outside theUSA<https://www.konicaminolta.jp/healthcare/products/us/aixplorer/pdf/whitepaper_ufd_eng.pdf>