Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 甲状腺
パネルディスカッション 甲状腺1 リンパ腫の鑑別診断とマネージメント

(S419)

リンパ腫の超音波診断

Ultrasonic diagnosis of Lymphoma in Thyroid

福島 光浩, 太田 寿, 西川 紗世, 中村 友彦, 廣川 満良, 宮内 昭

Mitsuhiro FUKUSHIMA, Hisashi OTA, Sayo NISHIKAWA, Tomohiko NAKAMURA, Mitsuyoshi HIROKAWA, Akira MIYAUCHI

1神甲会隈病院外科, 2神甲会隈病院臨床検査科, 3神甲会隈病院内科, 4神甲会隈病院病理診断科

1Department of Surgery, Kuma hosital, 2Department of Clinical laboratory, Kuma hosital, 3Department of Internal medicine, Kuma hosital, 4Department of Pathology, Kuma hosital

キーワード :

【背景】
甲状腺リンパ腫は,甲状腺悪性腫瘍の1~5%占める.高年齢,女性に多い.大部分が橋本病(慢性甲状腺炎)の合併を伴い,甲状腺自己抗体(TgAb・TPOAb)が陽性である.橋本病の患者では悪性リンパ腫の発生危険度が60倍になると報告されている.橋本病の経過観察中に甲状腺が明らかに腫大してきた場合は注意が必要である.甲状腺機能は正常であるか,ときに低下を示す症例もある.腫瘍割面の肉眼所見は,灰白色,均質で緻密,光沢があるが,壊死,のう胞,石灰沈着は認めない.腫瘍は片葉に限局する小さな結節状のものから両葉びまん性に及ぶ大きなもの,多発するものまで様々であり,結節型とびまん型に大別される.病理組織学的には甲状腺リンパ腫は主にB細胞由来であり,節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)と,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫がほとんどを占める.生物学的にはMALTリンパ腫は低悪性度でありその進行は緩徐なことが多いが,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫はやや悪性度が高く,なかには急激に進行腫大し緊急に処置が必要になる症例もある.
【超音波所見】
悪性リンパ腫の典型的な超音波所見は,「形状が不整」「内部エコーレベルが極めて低」「後方エコーの増強」の3点である.形状は入道雲やブロッコリーにたとえられる.また,その他の所見として「まだら状(虫喰い様)の内部エコー」,「切れ込み像」と「頸部リンパ節腫大」がある.「切れ込み像」は一見辺縁部から中心部への切れ込みのように見えるが,組織学的に検証すると多中心性に複数の病変が近接して非腫瘍部を圧排するように増大するため遺残する非腫瘍部が切れ込みの様に見えていることがわかっている.当院での検討では「まだら状(虫喰い様)低エコー」はMALTリンパ腫で高い頻度で出現し,「頸部リンパ節腫大」は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で高い頻度で出現する.「内部エコーレベルが極めて低」と「後方エコーが増強」の所見は嚢胞に類似しているので,かつては偽嚢胞様所見(pseudocystic findings)と言われてきた.リンパ腫は腫瘍組織が細胞成分に富み均質なためである.しかし最近では超音波機器の解像度が飛躍的に向上したために嚢胞との鑑別に困ることは少なくなった.必要であればドプラ法を用いて低エコー部分の血流シグナルを確認すれば容易に鑑別できる.むしろ鑑別診断に難渋するとすれば限局性の橋本病があげられる.
【診断】
細胞診を行えば容易に診断が可能な乳頭癌などと異なり,リンパ腫は細胞診のみでの診断は困難なことも多い.特にMALTリンパ腫はしばしば橋本病との鑑別診断が問題となる.いずれにせよ治療を行うためには組織診断が必須である.そのため,当院では基本的に超音波検査,穿刺吸引細胞診,細胞診検体を用いたCD45ゲーティングの3つ検査のうち少なくとも2つでリンパ腫を疑う場合に生検目的の手術を勧めている.