Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 甲状腺
パネルディスカッション 甲状腺1 リンパ腫の鑑別診断とマネージメント

(S418)

甲状腺リンパ腫の細胞診と病理診断

Cytological and pathological diagnoses of primary thyroid lymphoma

廣川 満良

Mitsuyoshi HIROKAWA

医療法人神甲会隈病院病理診断科

Department of Diagnostic Pathology and Cytology, Kuma Hospital

キーワード :

甲状腺リンパ腫は甲状腺原発悪性腫瘍の1-5%を占める稀な腫瘍で,中高齢女性に多く,そのほとんどが橋本病を発生母地としている.リンパ腫のほとんどはB細胞性で,MALTリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が主体を占める.
超音波でリンパ腫が疑われた場合,通常穿刺吸引細胞診が行われるが,MALTリンパ腫は腫瘍細胞が中型で,種々のリンパ球が混在していることから,橋本病との鑑別がしばしば困難である.そのような場合,穿刺材料を用いたCD45ゲーティングによるL鎖の偏りが参考になる.ただし,橋本病でもL鎖の偏りが報告されているし,リンパ腫の全例にL鎖の偏りが見られるわけではないので,当院では超音波,細胞診,CD45ゲーティングの3つの検査からなるアルゴリズムを用いて,診断のための外科的切除の適応を判断している.
切除材料の診断では,HE染色に加えて,CD20, UCHL-1, CD10, CD23, bcl-2, cytokeratin AE1/AE3などの免疫染色を行い,リンパ腫の組織型を決定する.CD20は腫瘍細胞がB細胞であることの確認に,CD23はfollicular colonizationの同定に,CD10とbcl-2は濾胞性リンパ腫の診断に,cytokeratin AE1/AE3はpackingやlymphoepithelial lesionを明瞭化するために用いる.さらに,CD45ゲーティング,染色体検査(G バンド法),免疫グロブリン遺伝子の再構成を行い,診断の参考にしている.