Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 甲状腺
シンポジウム 甲状腺2 甲状腺腫瘤(結節)についての超音波診断基準改訂について

(S414)

甲状腺腫瘍の血流評価について

Evaluation of the vascularity in thyroid tumor

宮川 めぐみ

Megumi MIYAGAWA

宮川病院内科

Internal Medicine, Miyagawa Hospital

キーワード :

近年超音波装置のモダリティとしてはBモード以外にカラードプラ,さらには組織弾性イメージングが可能となってきた.カラードプラでは結節内の血流分布や腫瘍血管の血流解析(FFT解析)を行うことで良悪性の鑑別が可能となってきた.カラードプラでの検査には通常の速度モード以外にパワードプラやADF(Advanced Dynamic Flow)やSMI(Superb Microvascular Imaging)などさまざまな方法が開発されており,より低流速の血流の描出に優れた高空間分解能の血流情報が得られるようになった.実際には,繊細・単調,なだらかな血流,境界部に沿う血流は濾胞腺腫をはじめとする良性腫瘍に特徴的である.一方,悪性所見としては,屈曲蛇行する血流,モザイク状の血流シグナル,貫入・貫通する血流が特徴的である.またそのFFT解析を行うことで良悪性の鑑別がより可能となる場合がある.すなわち,pulsatility index【PI:(Vmax-Vmin)/Vmean】やresistance index【RI:(Vmax-Vmin)/Vmax】を求め,その値から今までの報告ではPI>1.0~1.3,RI>0.7~0.75以上で悪性の可能性が高いことが示されている.今までに報告された52個の論文をメタ解析した結果(Thyroid2015,25; 538-550),腫瘤内の血流増加の所見は,Sensitivity:45.9%,Specificity:78.0%,Positive likelihood ratio:2.09という結果が得られており,良悪性の鑑別に有用であることが検証されている
甲状腺結節の超音波診断においてBモード所見が最も重要であるが,カラードプラおよびエラストグラフィの所見を加えて総合的にみることで,より良悪の鑑別に有用であると考える.