Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 乳腺
パネルディスカッション 乳腺3 非腫瘤性病変における超音波画像評価のポイント

(S405)

非腫瘤性病変における超音波画像評価のポイント ~構築の乱れ~

Architectural Distortion on Breast Ultrasound: Point of Care

梅本 剛

Takeshi UMEMOTO

つくば国際ブレストクリニック

Tsukuba International Breast Clinic

キーワード :

 超音波所見における構築の乱れは,「乳腺内の一点または限局した範囲に集中するひきつれやゆがみ」とされる.通常,マンモグラフィで描出された構築の乱れを精査する過程で遭遇する超音波所見であるが,ときに超音波検査でのみ認められる構築の乱れも経験する.その程度や範囲は多岐にわたり,比較的容易に認識可能なものから,十分注意しないと見逃してしまうようなものまでさまざまであり,まずは丁寧な走査や観察が重要となる.
 鑑別疾患としては,悪性では硬癌や浸潤性小葉癌など,牽引あるいは浸潤性発育を示す組織型が挙げられるが,硬化性腺症や放射状瘢痕に代表される良性疾患や,これらを背景とした非浸潤性乳管癌(あるいは小さな浸潤癌)が併存する場合もあり,注意を要する.また手術や生検,外傷や炎症性変化に起因した構築の乱れを認めることもあり,既往歴の確認も重要である.このほか,乳腺腺葉の境界や正常血管の走行といった正常構造も,見るところ構築の乱れに類似した超音波像を呈しうる.
 一方,所見の評価としては,とくに体表面に認められる手術創と一致した構築の乱れであれば精査不要(カテゴリー2)と判定できるが,最近では整容性を考慮した手術の結果,手術創と少し離れた乳腺組織に孤立して存在する構築の乱れも経験される.
 要精査の対象となる構築の乱れにおいて,カテゴリー3と4を分ける明確な基準は確立されていないが,バスキュラリティ評価による増殖能推定や血流シグナルの形態,組織弾性イメージング(エラストグラフィ)による病変部あるいは病変内の組織弾性の分布といった参考所見を加味した検討は,形態情報だけでは困難な鑑別疾患の絞り込みや病態の推定に寄与すると考えられ,これらの総合判断により良性疾患が想起される症例は,経過観察も可能である.
 超音波で構築の乱れを呈する疾患は,病理組織学的には穿刺吸引細胞診による良悪性鑑別が困難なこともあり,超音波所見を吟味のうえ,針生検や吸引式組織生検,摘出生検の適応も慎重に検討する姿勢が求められる.