Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 乳腺
シンポジウム 乳腺2 ここまで見える“乳房超音波”

(S394)

乳房構造読影がもたらす,乳房超音波の新たな展開

New development of breast ultrasound caused by breast structure images

何森 亜由美

Ayumi IZUMORI

高松平和病院乳腺外科

Takamathu heiwa hospital, breast surgery

キーワード :

超音波機器の進歩を考える時は,病変が明瞭に描出されるようになったと考える事に留まるのではなく,検出された像の組織構築や正常構造が深部まで綺麗に描出できるようになったことにより,臨床応用に大きく広がりをもたらしていることに注目するべきである.
 正常乳腺の基本構造である「乳管―小葉」構造は,脂肪細胞や膠原線維,細胞外基質,が混在する浮腫状間質の中に様々な太さの径で存在している.超音波で見ることができる正常構造は,乳管や小葉の径が「ある程度」の大きさ以上の場合や,周囲間質の「容量」が多い部分である.高分解能になるほどより細い正常構造が認識できるようになり,特に等エコー構造の大部分を占める周囲間質の「線維の分布」が読み取れるようになってきていると感じられる.
 また,乳がんは間質の増生を伴うものが多く,とくに悪性度の高い病変では病理組織像でも間質線維の増生が目立つ.臨床現場に普及が進んできた高分解能超音波はこの間質線維の変化を明瞭に捉えることができる.実際の観察では間質の変化は「分量の増大」や「パターンの変化」として観察することができ,他の画像診断や病理診断とあわせた診断で重要な情報となっている.
 また低流速血管の立体構築が簡便に観察できることも,実際の臨床では大きなメリットとなっている.
 今回,高分解能超音波で確認できる,乳腺の正常構造,分泌を貯めていない乳管や,セカンドルックUSで検出された微小病変を組織像理解と共に供覧する.
 正常構造が「ここまで見える」ことによるメリットを実際の臨床画像をもとに実感を共有し,今後の乳房超音波の進むべき発展の方向性をみなさんとともに考えていきたい.