Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科3 双胎の妊婦健診における超音波検査のあり方

(S369)

当院での多胎外来運用について

Specialized Outpatient for Mutiple Pregnant Women at Our Hospital

沖本 直輝, 塚原 紗耶, 福井 花央, 萬 もえ, 大岡 尚美, 吉田 瑞穂, 政廣 聡子, 立石 洋子, 熊澤 一真, 多田 克彦

Naoki OKIMOTO, Saya TSUKAHARA, Kao FUKUI, Moe YOROZU, Naomi OHOKA, Mizuho YOSHIDA, Satoko MASAHIRO, Yoko TATEISHI, Kazumasa KUMAZAWA, Katsuhiko TADA

独立行政法人国立病院機構岡山医療センター産婦人科

Obstetrics & Gynecology, Okayama Medical Center

キーワード :

当院は総合周産期母子医療センターとして,年間に多胎を約50分娩行っている.
2016年までは地域の産科で多胎と診断された症例の約60%が妊娠20週未満に紹介いただき当院で管理できていたが,残り約40%が妊娠20週以降の紹介となっており,それらの症例の多くが切迫流早産,妊娠高血圧症,胎児異常(selective IUGRを含む),羊水量異常(TTTS,TAFDを含む)を合併していた.
当院では多胎妊娠は全妊娠期間,産褥期を通してハイリスクであることを地域の産科施設や妊婦ご自身にしっかり認識していただくこと,また妊婦一人あたりの診療時間を十分確保し胎児超音波検査を綿密に行ったり患者教育を行うことを目的に2016年10月より多胎専門外来を開設した.
2016年10月から2017年10月までの期間に多胎外来を受診され出産あるいは流産となった妊婦は41名であった(DD双胎16名,MD双胎24名,MM双胎1名).同期間で他施設で妊娠管理を行っていたが周産期合併症により当院に母体搬送となった症例は7名であった(DD双胎4名,MD双胎3名).
多胎外来ではMD双胎は妊娠12週以降では少なくとも2週に1回受診していただいている.外来では毎回胎児発育と羊水量計測を行っているが,MD双胎は妊娠12週~16週で静脈管波形の異常の有無を確認している.また妊娠14~18週では多胎の膜性に関わらず臍帯胎盤付着部位を確認するようにしている.胎児形態異常スクリーニングとしては単胎に準じて当院で行っているスクリーニング項目に沿って妊娠18~20週の中期スクリーニングと妊娠26週前後で胎児心臓スクリーニングを行っている.また臍帯動脈や中大脳動脈の波形計測は,羊水差や体重差(discordant rate15%以上),FGRなどがなければ計測していない.ただし,TAPSのスクリーニングとしてMD双胎では妊娠30週に中大脳動脈の最大血流速度を計測している.
当院ではMD双胎の循環不均衡の指標として臍静脈血流量(UVFV)に注目しており,妊娠16週以降のMD双胎の計測項目にUVFVを加えている.
UVFVの格差はTTTS発症した児で顕著であるという報告もあるが,当院では羊水格差や体重差の出現前からUVFVの格差が見られた症例を複数経験しており,TTTSなどの循環不均衡のマーカーとなる可能性がある.