英文誌(2004-)
特別プログラム・知を究める 産婦人科
シンポジウム 産婦人科3 胎児MRI・CTの現状と未来
(S356)
胎児CTの撮影技術の進歩と被ばく低減への挑戦
The Challenge to Ultra-Low-Dose Fetal CT With Model-Based Iterative Reconstruction: A Prospective Pilot Study
宮嵜 治
Osamu MIYAZAKI
国立成育医療研究センター放射線診療部
Radiology, National Center for Child Health and Development
キーワード :
近年非常に多くの疾患の画像診断が単純X線撮影から,超音波(以下US),CT,MRI診断にシフトし,単純X線撮影の役割はほぼ終了した分野もある.一方骨格の画像診断,とりわけ骨系統疾患のX線診断は,US,CT,MRI全盛の現代においても微妙な単純X線撮影の所見を指摘することで成り立っている.この事実が意味するところは骨系統疾患とⅩ線診断は親和性が非常に高く,これをUS,MRIで凌駕することは不可能であると思われる.胎児期にUSで発見される骨系統疾患も同様であり,胎児期に単純Ⅹ線撮影ができないためにその代替えとして胎児CTを行うのが現時点での最善の診断方法である.しかしながら胎児と母体のⅩ線被ばくは避けられない.胎児CTが臨床に導入されて以来,自施設と国内全体の胎児被ばく線量の低減に努めてきた結果,現在自施設のCT被ばく線量はCTDIvolが0.5 mGyと低被ばくでの撮影が実践できるようになった.この撮影条件での実効線量は0.7mSvと低く,我々はこの手法をUltra low dose fetal CT(ULDFCT)と呼称している. この背景には逐次近似法の使用によるノイズの低減にある.本講演では当施設でのULDFCTの紹介と,全国胎児CT被ばく調査の結果からみた国内の胎児CT被ばくの状況を報告する予定である.