Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 産婦人科
シンポジウム 産婦人科2 子宮病変

(S353)

子宮病変におけるMicro-vascular ImagingやShear Wave Elastographyの有用性の検討

Consideration in the utility of Micro-vascular Imaging(SMI) and Shear Wave Elastography(SWE) in pathological change of uterine cervical disease

吉岡 範人

Norihito YOSHIOKA

聖マリアンナ医科大学産婦人科学

Obstetrics and Gynecology, St. Marianna university school of medicine

キーワード :

【目的】
子宮頸部病変において,新たな超音波機能であるSuperb Micro-vascular Imaging(SMI)とShear Wave Elastography(SWE)が早期診断に有用であるかどうかを明らかにすることを目的とした.
【方法】
2017年4月から2018年1月,聖マリアンナ医科大学病院・婦人科外来に初診受診した子宮頸部異形成もしくは子宮頸癌の患者を対象とし,case-control studyを行った.対照は,子宮頸部細胞診が少なくとも3か月以内で正常であった症例を集めた.治療前-後に従来の超音波断層法やカラードプラに加え,SMIとSWEで評価を行った.SMIは,Canonが独自のポストプロセスのアルゴリズムで,モーションアーチファクトの信号のみを取り除き,必要な血流情報のみを残すことで低流速の血流をカラードプラで表現できるようにした方法である.一方,SWEは,せん断波を用い,組織の硬さを絶対的な弾性率で定量的に評価できる方法である.これらの新しい検査法が子宮頸部病変における術前診断に有用かどうかを検討した.SMIでは,カラードプラ強度を強,中,弱の3段階で評価し,血流速度を比較検討した.また,SWEでは数か所でSWE値の測定を行い,その平均値を信号強度として用いた.
【結果】
8例の対象と17例の対照を比較した.対象の内訳は子宮頸がん1例,子宮頸部の高度異形成および上皮内癌7例であった.対象と対照の年齢は,それぞれ,43.7±13.6歳,39.8±8.9歳(ns),BMIは21.7±3.8,24.6±1.4(ns)であった.対象と対照において,従来のカラードプラの強度は,弱94% vs 100%,中-強6% vs 0%(ns)であった.一方,SMIではそれぞれ,弱61% vs 100%,中-強39% vs 0%であった.なお,頸癌の1例は強を示していた.SWEを用いた頸部硬度の評価では,対象と対照のSWE値(高いほど硬いと考えられている)は,それぞれ4.4±1.2,2.2±0.3であった(p<0.01).
【結語】
子宮頸部病変の診察において,SMI,SWEは頸部病変の微細な血管増生や悪性化などの組織学的変化を捉えるのに有用であることが示唆された.CIN3と正常子宮頸部の診断やスクリーニングにおいて,これらの手法を組み合わせることでその精度が向上する可能性があると考えられた.