英文誌(2004-)
特別プログラム・知を究める 産婦人科
シンポジウム 産婦人科1 卵巣腫瘍
(S347)
「卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000」を用いた教育効果についての考察
Consideration about the education effect using the Echo pattern classification of ovarian tumors 2000
田嶋 敦, 鈴木 真
Atsushi TAJIMA, Makoto SUZUKI
亀田総合病院産婦人科
Obstetrics and Gynecology, Kameda Medical Center
キーワード :
【目的】
日本産科婦人科学会では専門医を所得するための専門知識・技能の到達目標として,「女性生殖器に発生する主な良性・悪性腫瘍の検査,診断,治療法と病理とを理解」し,「卵巣腫瘍の診断と対応」が可能であることとされ,超音波検査によって卵巣腫瘍の鑑別診断が出来ることが求められている.
我が国の「卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000」は,エコーパターンから6つに分類しそれぞれの悪性腫瘍の確率が表記されている.我々はこのエコーパターン分類を用いることにより,経腟超音波検査において悪性腫瘍の検出率は感度,特異度がそれぞれ80%,85.5%となり,スクリーニング検査として有効であると報告した.
そこでこの「卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000」を卵巣腫瘍の鑑別診断の教育ツールとして活用することを検討した.
【方法】
専攻医4人(1年目2名,2年目2名)に対しプレテストとして,術前に行い病理組織の判明している超音波画像を50枚提示し,良性悪性の鑑別,組織型の推定を回答してもらった.「卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000」の主旨,良性,悪性それぞれの特徴的な超音波所見について解説を行い,その後に別な50枚の超音波画像を用いてポストテストを行い,解説の前後での成績の変化を検討した.テスト問題は2種類とし,2名ずつプレテストとポストテストを入れ替えて行った.
【結果】
2種類のテストは平均点が33.3と34点であり,正当率に差を認めなかった.
専攻医4名の良性悪性の鑑別成績は,感度,特異度,正答率が解説の前後では有意な差は認められなかったが,解説後に感度が低くなり特異度が高くなる傾向を認めた.4人の専攻医が悪性と回答した数が解説の前後で有意に減少していた.
【考察】
「卵巣腫瘤のエコーパターン分類2000」の解説により明らかな成績の改善は認められなかったが,感度が低下,特異度が上昇する傾向が認められた.悪性と回答した数が解説後に有意に減少したことから,専攻医はプレテストでは悪性と回答する傾向が強く,解説後には良性と根拠を持って回答出来る様になったと考えられる.しかしその成績はまだ芳しくはなく,継続的な学習が必要となると思われる.