Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
パネルディスカッション 消化器4 胆嚢癌を見直す

(S332)

胆嚢ポリープの取扱い -10mm以上をどう扱うか?

Management for Gallbladder Polyps -How to treat polyps sized over 10mm

有坂 好史, 篠田 和子, 柳川 友加, 徳山 由佳, 河田 奈都子, 中村 秀次

Yoshifumi ARISAKA, Kazuko SHINODA, Yuka YANAGAWA, Yuka TOKUYAMA, Natsuko KAWADA, Hideji NAKAMURA

1日本生命済生会付属日生病院消化器内科, 2日本生命済生会付属日生病院中央臨床検査部

1Department of Gastroenterology, Nissay Hospital, 2Division of Central Clinical Research Laboratory, Nissay Hospital

キーワード :

【目的】
胆嚢癌鑑別を念頭においた胆嚢ポリープの取扱いを検討する.
【対象と方法】
1)2016年10月1日から2017年9月31日の1年間に当院予防医学センターにおいてドック腹部超音波検査が施行された9045例を対象として胆嚢ポリープの有所見率を検討した.2)一般的に手術適応とされている10mm以上の胆嚢ポリープについて,同期間に胆嚢摘出術を行い病理組織診断が確定した10mm以上のIp型胆嚢ポリープ6例(コレステロールポリープ3例,過形成性ポリープ1例,炎症性ポリープ1例,胆嚢癌1例)と,過去に経験した10mm以上のIp型胆嚢癌2例/腺腫2例の計10例について,良性5例と癌/腺腫5例で術前のUS/EUS所見を後方視的に比較検討した.
【結果】
1)胆嚢病変の有所見率は29.5%(2672/9045),胆嚢ポリープは19.0%(1718/9045)に認められ,胆嚢病変中最多であった.大きさ別に検討すると5mm未満が71.7%(1232/1718),5-7mmが24.4%(420/1718),8-9mmが2.6%(45/1718),10mm以上が1.2%(21/1718)であった.2)10mm以上のポリープにおける術前US/EUS所見は,良性:癌/腺腫で,大きさー平均11.8mm(11,11,11,11,15mm):平均16,6mm(12,13,18,20,20mm),個数ー(単発2例,4個以上3例):(単発3例,3個2例),形状ー(類円形2例,分葉状3例):(類円形4例,分葉状1例),表面ー(平滑1例,顆粒状4例):(平滑2例,顆粒状2例,不明瞭1例),内部エコーー(高4例,等1例):(高2例,等2例,低1例),エコー密度ー(密2例,粗3例):(密5例),heterogeneityー(不均一5例):(均一3例,不均一2例)であった.また,良性ポリープは2例に点状高エコー,4例に微小な無エコースポットが認められた.癌/腺腫はいずれも茎が太く,腺腫2例はコレステロールポリープ合併(個数3個)1例と胆石合併1例であった.
【考察・結論】
10mm以上の胆嚢ポリープでは低頻度ながら癌/腺腫が認められる.単発で茎が太く,類円形で表面平滑,内部エコーが密で均一な場合は癌/腺腫の可能性がある.多発例や点状高エコー,無エコースポットは良性を疑う所見であるが,多発例でもコレステロールポリープに合併する癌/腺腫例があり,胆石合併例にも注意が必要である.