Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
パネルディスカッション 消化器3 肝臓 治療 安全かつ確実なRFA治療を目指した超音波技術の工夫

(S328)

3D Sim-Navigator,E-fieldを用いたRFA治療

RFA with 3D Sim-Navigator and E-field

坂本 梓, 木村 達, 荒井 修, 西島 規浩, 齋藤 澄夫, 那須 章洋, 米門 秀行, 喜多 竜一, 谷口 敏勝, 大崎 往夫

Azusa SAKAMOTO, Toru KIMURA, Osamu ARAI, Norihiro NISHIJIMA, Sumio SAITO, Akihiro NASU, Hideyuki KOMEKADO, Ryuichi KITA, Toshikatsu TANIGUCHI, Yukio OSAKI

1大阪赤十字病院消化器内科, 2大阪赤十字病院超音波検査室, 3株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニット

1Gastroenterology and Hepatology, Osaka Red Cross Hospital, 2Ultrasonography, Osaka Red Cross Hospital, 3Healthcare business unit, Hitachi, Ltd.

キーワード :

【はじめに】
Real-time Virtual Sonography(RVS)技術を基にRFA時のシミュレーション・ナビゲーションを可能としたアプリケーション,3D Sim-Navigator(日立製作所)はその特徴より,特にBipolar電極針複数本穿刺時に有用である.難易度の高い複数本穿刺も,RVS 3D Sim-Navigator(日立製作所)をシミュレーション,ナビゲーションとして使用することで,比較的抵抗なく処置が行えるようになり,我々はその有用性を報告してきた.
また,3D Sim-Navigatorに新たに予想凝固域を表示できるアプリケーション,E-fieldが搭載された.E-fieldはBipolar,・Monopolar電極針単針使用時やMonopolar電極針によるoverlapping焼灼に加え,Bipolar電極針複数本使用時など大半のRFA手技に対応し,その電極針に応じた予想凝固域を表示できるシステムである.
今回我々は,3D-Sim Navigator使用前後におけるBipolar複数本穿刺の治療成績を比較し,治療成績向上に寄与しているか検討した.また,予想凝固域としてのE-fieldの精度を検証した.
【対象と方法】
Bipolar複数本穿刺にて加療を行った症例で,2014年5月から2017年3月に3D Sim-Navigator使用し加療を行った群と,2013年1月から2014年4月3D Sim-Navigator使用前群(コントロール群)とで,1セッションでの根治治療完遂率を比較した.2016年4月から11月に当院で施行したRFA症例の内,Bipolar電極針(CelonPOWER)を使用した9症例10結節およびMonopolar電極針(VIVA RF system)を使用した 52症例72結節を対象とし,Monopolar症例ではE-fieldと効果判定CTにおける凝固域の最大長径・短径とを体軸断面で比較検討した.Bipolar症例ではE-field と効果判定CTにおける凝固体積とを比較検討した.
【結果】
Bipolar症例における1セッションでの根治的治療完遂率は,3D Sim-Navigator使用例で78.4%,不使用例で66.6%で,有意差はなかったものの(p=0.196),3D Sim-Navigator使用例において治療成績の向上がみられた.また特にE-fieldが使用可能となってからの9症例では根治治療完遂率が100%であった.
Monopolar症例において,E-fieldのグラデーション表示をWW0.3, WL0.2に設定時,グラデーションの最外側は凝固域より大きく最内側は凝固域より小さい結果で,いずれの電極針長においても,凝固域はE-fieldのグラデーション表示で予測された領域内に収まる結果であった.
Bipolar症例における凝固体積の比較検討において,両者はよく相関する結果が得られた(R2=0.963).
【考察】
従来凝固域予測が困難で,難易度の高いBipolar症例において,3D Sim-Navigator使用例で治療成績の向上がみられた.また,E-fieldの予想凝固域はMonopolar, Bipolarいずれにおいても精度が高い結果であり,治療前にシミュレーションとして使用することで,適切な治療法を選択する一助になると考えられた.3D Sim-Navigator,E-fieldは,適切なRFAデバイスを選ぶ一助となり,RFA治療の精度を高め,RFAの治療成績向上に寄与すると考える.