Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
パネルディスカッション 消化器3 肝臓 治療 安全かつ確実なRFA治療を目指した超音波技術の工夫

(S328)

ラジオ波焼灼術時3D-USは治療効果と再発予測に有用である

3D-US during radiofrequency ablation is useful for therapeutic effect and recurrence prediction

的野 智光, 孝田 雅彦, 永原 蘭, 松木 由佳子, 山根 昌史, 三好 謙一, 杉原 誉明, 磯本 一

Tomomitsu MATONO, Masahiko KODA, Ran NAGAHARA, Yukako MATUSKI, Masahumi YAMANE, Kenichi MIYOSHI, Takaaki SUGIHARA, Hajime ISOMOTO

鳥取大学医学部附属病院消化器内科

Gastroenterology, Tottori University Hospital

キーワード :

【目的】
肝細胞癌に対するラジオ波焼灼術(RFA)は,一定の範囲を焼灼するため,正確な穿刺が治療効果,合併症の発生に大きく影響する.RFA治療後には一般にCTやMRIによる治療効果判定が用いられており,ablative marginの有無が再発率に大きく関与する.しかし,RFAの穿刺時にablative marginの有無を予測し,その治療効果,再発を評価した報告はない.今回我々は,RFA穿刺後,三次元超音波診断装置(3D-US)のボリュームデータを採取・解析し,その治療効果予測を行い,再発の有無につき解析を行った.
【方法】
当院でRFAを施行した結節のうち,3D-USによるデータを取得できた79結節を対象とした.3D-USを施行したが穿刺針と腫瘍の両方が同定できなかった27結節,RFA後にCTあるいはMRIによる画像判定が施行されていなかった2結節,RFA後に経過観察されなかった2結節の31結節を除外した48結節を解析対象とした.穿刺後の3D解析は,穿刺針をz軸とし,穿刺時の断層像をA面,それと直交する面をB面とし,z軸の垂直断面であるC面における腫瘍を観察した.使用した針による予測焼灼径をa,C面における穿刺針の中心から腫瘍辺縁までを測定した最大距離bとし,a/2-bを予測ablative margin(AM)として算出し,予測AM>0を予測完全壊死とした.RFA術後のCTあるいはMRIによる画像判定で,焼灼域が腫瘍を覆っていた場合,術後完全壊死とした.次に予測AMを0mm以下(5結節),0から3mm未満(22結節),3mm以上(21結節)の3群に分け,RFA治療後1年内の局所再発の有無を調査した.統計学的解析は,カイ2乗検定を行った.
【結果】
3D解析で予測完全壊死とした結節は43結節,不完全壊死とした結節は5結節であった.予測完全壊死とした43結節のうち,RFA後1年以内に局所再発を認めた結節は3結節,局所再発を認めなかった結節は40結節であった.また不完全壊死と診断した5結節のうち,局所再発を認めた結節は3結節,認めなかった結節は2結節全結節であった(p<0.001).予測AMが0mm以下では,5結節中3結節で局所再発を認め,2結節では局所再発を認めなかった.予測AMが0から3mm未満では22結節中3結節で局所再発を認め,19結節では局所再発は認めなかった.3mm以上では全21結節において1年以内の局所再発は認めなかった(p<0.005).CTあるいはMRIによる画像判定で,完全壊死とした結節は41結節,不完全壊死とした結節は7結節であった.完全壊死と診断した41結節のうち,RFA後1年以内に局所再発を認めた結節はなく,不完全壊死と診断した7結節のうち6結節で局所再発を認め,1結節では局所再発を認めなかった(p<0.0001).
【考察】
RFA時の3D-USでは,穿刺直後に腫瘍の焼灼予測範囲を解析することが可能であり,予測AMが3mm以上であれば局所再発は認めず,その後の局所再発についても従来の画像判定とほぼ一致していた. しかし,79結節中29結節は十分な画像が得られず評価できなかった.今後超音波画像のさらなる改善が必要であると考えられた.
【結語】
RFA時の3D-USは,予測AMを計測することによって治療効果を穿刺時に予測することが可能であり,その後の局所再発についてもCTやMRIの結果と一致していた.