南 康範, 南 知宏, 千品 寛和, 田北 雅弘, 萩原 智, 依田 広, 上嶋 一臣, 西田 直生志, 工藤 正俊

Yasunori MINAMI, Tomohiro MINAMI, Hirokazu CHISHINA, Masahiro TAKITA, Satoru HAGIWARA, Hiroshi IDA, Kasuomi UESHIMA, Naoshi NISHIDA, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Kindai University Faculty of Medicine

キーワード :

【背景】
Fusion imagingの1つであるUS-US overlay fusionは治療前と後の超音波像の重ね合わせによってラジオ波焼灼術（RFA）での焼灼マージンの可視化を実現した．このUS-US overlay fusionを用いてRFA治療を施すことはRFA治療の精度を向上させ，それによって局所再発率は下がると想定される．
【目的】
肝細胞癌（HCC）へのRFA治療について，US-US overlay fusionを用いた群と従来通りRFA治療を行った群を比較した．
【方法】
US-US overlay fusion群の対象は2014年5月から2016年11月まで当院にてRFAを施行した肝細胞癌101症例121結節である．男性71例，女性30例，平均年齢は71.0歳であり，平均腫瘍径は1.8cmであった．コントロール群は同時期に従来の手順でRFA治療を行った325症例453結節である．主要評価項目は局所再発率である．
【成績】
US-US overlay fusion群について，平均穿刺回数は1.9回，全例において1st sessionで治療成功を達成した．観察期間（中央値：19ヵ月）において局所再発は1例のみで，一方でコントロール群の局所再発率は6.0％（27/453）であった（p = 0.022）．また，2015年6月から2016年12月までUSで腫瘍境界が明瞭な症例に限ってRFA翌日のCTによる治療効果判定を省略し，US-US overlay image fusionのみで治療後評価を行った27症例34結節についても遺残癌や局所再発を指摘されていない（観察期間の中央値：12ヵ月）．
【考案】
US-US overlay fusion群では全例において1st sessionで治療成功した．また，従来法と比べて明らかに低い局所再発率であったことは，US-US overlay fusionによってRFAの精度が高められたことを示している．ただUS-US overlay fusionで治療効果判定を行うには緻密な画像対比が要求されるため，より丁寧な位置調整が欠かせない．
【結語】
RFA治療にUS-US overlay fusionを活用することで従来よりも局所再発を抑制することができた．結節の描出条件が良い症例については早期治療効果判定もUS-US overlay fusionで行うことで，通常行われているCT/MRIでの画像評価を省略できるものと考える．