Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
パネルディスカッション 消化器3 肝臓 治療 安全かつ確実なRFA治療を目指した超音波技術の工夫

(S326)

RFA穿刺治療時の3D-GPSマーカー活用法

Usefulness of 3D-GPS marker for RFA support tool

田中 弘教, 霜野 良弘, 石井 昭生, 内橋 孝史, 李 兆亮, 石井 紀子, 宮本 勇人, 杉田 光司, 宮崎 純一, 阿部 孝

Hironori TANAKA, Yoshihiro SHIMONO, Akio ISHII, Takasi UCHIHASHI, Zhao Liang LI, Noriko ISHII, Hayato MIYAMOTO, Koji SUGITA, Junichi MIYAZAKI, Takashi ABE

宝塚市立病院消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Takarazuka municipal hospital

キーワード :

【背景】
3D-GPSマーカーは2015年12月から使用可能となったLOGIQ-E9 with XD clear 2.0の新機能であり,磁場発生ユニットによる電磁場領域内であれば,任意の部位の球体/楕円体の位置情報の大きさ・形態(長軸と短軸の長さの調整)・色調・安全域などを,簡単なダイヤル操作だけで多段階に設定可能である.位置センサー内臓プローブとの相性は特に良好であり,センサー取り付けの手間なく,必要時にすぐに使用可能である.穿刺治療支援アプリケーションであるVirtuTRAX(穿刺針の根元に専用のポジションセンサーを装着し,センサーから直角方向の針先端までの距離を超音波装置に登録することで,超音波画像上に 仮想の穿刺針の先端および穿刺ラインを表示する機能)と連動させることにより,RFA針と連動させて画面上に仮想表示させることも可能である(3D針先マーカー).RFA治療中はバブルにより対象結節が不明瞭となるため,精度の高い治療の為には,結節位置を治療中・治療直後にも正確に把握することが望まれる.これまでRFA治療前に腫瘍部位を立体的にマークするためには,腫瘍のvolume dataを取得後,6断面の腫瘍の輪郭をトレースすることにより得た立体的な位置情報(3D 腫瘍マーカー)表示か,以前よりの1点を表示するだけのGPSマーカーを複数個使用する必要があった.しかし3D腫瘍マーカーの取得には手間を要すことに加え,描出困難部位では精度が低下するという問題がある.複数のGPSマーカー(ポイントマーカー)で腫瘍を把握する方法もあるが,直感的な結節の認識は容易ではない.そこで今回我々は,当院の3D-GPSマーカー使用例から,活用法と課題を検討した.
【対象と方法】
 当院で3D-GPS マーカーを使用したRFAを開始した2016年4月~2017年4月にRFAを施行した62結節50症例(男性34例/女性16例,平均年齢75.5歳)を対象とし3D-GPSマーカー種類別に有効性と問題点を検討した.
【結果】
3D位置マーカーは設定も容易で簡便に利用可能であり,特に小病変の治療時には非常に有用であった.一方で浅い病変では呼吸変動が大きくなることや,3cm以上の大きな病変では逆に病変の空間認識が難しくなること,3D針先マーカーと一緒に使用すると楕円形の複数のマーカーが複雑に交差する事でわかりにくくなる等の問題もあった.また腫瘍径が大きいと形状も複雑になるため,3D-GPSマーカーの形状との一致させることが容易でなかった.3D針先マーカーは,追加位置センサーのための接続コードが多くなることや,穿刺針に力がかかると針が湾曲することで容易に位置ずれすること,センサー取り付け位置変更時の手間などの問題はあったが,特に深部病変での治療予測範囲推定や治療中針先確認に有用であった.以前から当院でも使用していた3D腫瘍マーカーは,比較的腫瘍径が大きい病変であっても,より正確な位置把握が可能となり,3D針先マーカーとの連携も良好であった.しかし課題として,作成にやや時間を要することや,病変の輪郭が明瞭に描出できないと正確性が低下すること,トレース時の画像自体が再構成画像のため空間分解能が低下すること等の問題もあった.
【結論】
RFA穿刺治療時の3D-GPS マーカーには,解決すべき問題はあるものの,様々な条件に応じて使い分けることで非常に有用な治療支援ツールとなる.