Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
シンポジウム 消化器7 肝臓 診断 肝腫瘤の診療ガイドラインを考える

(S316)

肝癌治療における造影超音波の有用性について

Usefullness of contrast-enhanced sonography for treatment of hepatocellular carcinoma

髙木 慎太郎, 中迫 祐平, 海谷 慧, 中司 恵, 見世 敬子, 浅野 清司, 森 奈美, 岡信 秀治, 古川 善也, 茶山 一彰

Shintaro TAKAKI, Yuhei NAKASAKO, Keiji UMITANI, Megumi NAKATSUKA, Keiko MISE, Kiyoshi ASANO, Nami MORI, Hideharu OKANOBU, Yoshinari FURUKAWA, Kazuaki CHAYAMA

1広島赤十字・原爆病院消化器内科, 2広島赤十字・原爆病院検査部, 3広島大学病院消化器・代謝内科

1Department and gastroenterology, Hiroshima Red Cross and Atomic-bomb survivors Hospital, 2Clinical laboratory, Hiroshima Red Cross and Atomic-bomb survivors Hospital, 3Department of gastroenterology and metabolism, Hiroshima University Hospital

キーワード :

【はじめに】
肝癌の治療方針の決定には腫瘍の多血性変化の評価が最も重要である.ソナゾイド造影超音波(CEUS)は,肝腫瘍診断においては腫瘍の多血化を最も良く評価できるモダリティーであり,乏血性結節の精査,肝癌に対するラジオ波焼灼術(RFA),肝動脈塞栓術(TACE)などの治療支援,治療後の効果判定において広く用いられ,その有用性も多く報告されている.
【目的】
肝癌症例の多血化評価と治療後の効果判定におけるCEUSの有用性にについて再評価する.
【対象と方法】
2013年4月より2017年12月までに当院にてCEUSを施行した729例のうちCEUS,ダイナミック造影CT(CECT),Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)を施行し総合的に肝癌と診断した149例.年齢74 歳(36-88歳)男性90例女性36例,結節径22(7-140)mm.このうちRFA時にCEUSを使用した35例.TACE後に局所療法の追加などを検討しCEUSを施行した27例を対象とした.
検討①肝癌の検出率を,CEUS,CECT,EOB-MRIで比較.
検討②CECTまたはEOB-MRIで非多血性(乏血性あるいは周囲肝と等信号(吸収))結節のCEUSでの多血化の描出の程度を検証.
検討③TACE後およびRFA後の効果判定におけるCEUSの有用性について検討した.
【結果】
 検討①肝癌の検出率はCEUS中126例中108例85%,CECT88結節中78結節88.6%,EOB-MRI 66結節中64結節97%で,EOB-MRIと比較しCEUSでの検出率が低かったが(P=0.081),結節の位置が肝表より10cm以下の深部であった例や腸管ガスや肺の影響で描出されなかった13例10.3%を除くと113例中108例95.5%となり各群で差は認めなかった.
 検討②CECTまたはEOB-MRIいずれかで非多血性結節と診断された結節は22結節(乏血性20結節,等信号(吸収)2結節)で,CEUSでは非多血16結節(72%)(乏血性14結節(63%)等エコー2結節(9%)であったが,6結節(33%)では多血化が確認された.
 検討③TACE後の症例ではCTあるいはMRIで早期濃染なしと判定された27結節のうちCEUSで多血性変化を認めたのは10結節(37%)であった.また,RFA後の症例ではRFA終了数時間後の後血管相では,治療前低エコーであった23結節は全て正確なmarginの評価は困難であったが,高エコー結節では,焼灼域である欠損領域内に高エコー結節を認め,非焼灼部位と境界が明瞭に描出されており,marginの評価が可能になっていた.術後CTでの効果判定とmargin評価が一致していたのは12例中11例(92%)であった.全結節ともReinjectionであきらかな濃染の残存は認めなかった.
【結語】
CEUSは肝癌の多血化の評価に優れ, 治療後の効果判定にも有用であることがあらためて認識され,高エコーを呈する肝癌ではRFA後のmargin評価にCEUSの後血管相での評価が有用となる可能性が示唆された.