Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
シンポジウム 消化器5 肝臓 エラスト エラストグラフィは何を見ている?

(S304)

超音波エラストグラフィ併用による肝線維化・炎症評価

Diagnosisi of liver fibrosis and activity by a combined use of ultrasound elastograpy

玉城 信治, 泉 並木, 小泉 洋平, 廣岡 昌史, 日浅 陽一, 中島 収, 矢田 典久, 工藤 正俊

Nobuharu TAMAKI, Namiki IZUMI, Youhei KOIZUMI, Masashi HIROOKA, Yoichi HIASA, Osamu NAKASHIMA, Norihisa YADA, Masatoshi KUDO

1武蔵野赤十字病院消化器科, 2愛媛大学消化器・内分泌・代謝内科学, 3久留米大学病院臨床検査部, 4近畿大学消化器内科学

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital, 2Department of Gastroenterology and Metabology, Ehime University Graduate School of Medicine, 3Department of Clinical Laboratory Medicine, Kurume University Hospital, 4Department of Gastroenterology and Hepatology, Kindai University Faculity of Medicine

キーワード :

【目的】
Shear wave imagingおよびStrain imagingを用いた超音波エラストグラフィの組み合わせによる非侵襲的な肝線維化診断および炎症診断能を検討した.
【方法】
2015年7月から2017年3年までに肝生検を施行した慢性肝疾患患者366症例と正常肝ボランティア22症例を対象とした.肝生検と同時にReal time tissue elastograpy(RTE)およびShear Wave Measurement(SWM)を測定した.超音波エラストグラフィは肝生検と同時に施行した.超音波エラストグラフィにて得られた計測値から,肝線維化と炎症の程度を推定するFibrosis IndexとActivity Indexを算出し,組織所見との相関を検討した.
【結果】
肝線維化診断において,RTE単独では線維化Stageとの相関はr = 0.249,またSWE単独と線維化Stageの相関はr = 0.560であった.RTEおよびSWEを組み合わせて算出したFibrosis indexと線維化の相関はr = 0.601とそれぞれ単独での検討よりも良好な相関を認めた.高度線維化(F3-4)を予測するROC解析でのAUROCはRTE,SWE単独ではそれぞれ0.59,0.81であったのに対してこれらを組み合わせたFibrosis Indexでは0.83とより精度は向上した.線維化StageごとのFibrosis indexの中央値はそれぞれF0/1/2/3/4:0.85/1.34/1.73/2.26/2.31と線維化ステージの上昇にともないFibrosis indexも上昇する有意な相関関係を認めた(p<0.01).F1≧/F2≧/F3≧/F4を予測するFibrosis indexのAUROCは0.87/0.80/0.83/0.80であった.またRTEおよびSWEから算出されたActivity indexと病理学的な炎症Gradeを比較するとA0/A1/2/3においてActivity indexはそれぞれ0.76/1.19/1.40/1.58と炎症の増加に伴いActivity indexも優位に上昇を認めた(p<0.01).
【結論】
RTE及び,SWMを併用して得られるFibrosis IndexとActivity Indexは,病理組織所見とそれぞれ単独での検討と比較しより有意な相関関係が得られた.超音波エラストグラフィを組み合わせることによってその診断精度は向上し,非侵襲的診断法として有用であると考えられる.